論文

査読有り
2013年

スギとコナラ樹皮におけるセシウム吸着特性について

森林立地
  • 岩瀬 香
  • ,
  • 富岡 利恵
  • ,
  • 杉浦 佑樹
  • ,
  • 金指 努
  • ,
  • 竹中 千里

55
2
開始ページ
69
終了ページ
73
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.18922/jjfe.55.2_69
出版者・発行元
森林立地墾話会

本研究は樹皮に吸着した放射性セシウム(^<137>Cs)の動態を明らかにすることを目的に,第一歩として樹皮におけるCsの吸着特性について,同族のアルカリ金属類,ナトリウム(Na),カリウム(K),ルビジウム(Rb)と比較し,その特性を考察した。福島県内で多く分布しているスギ(Cryptomeria japonica)とコナラ(Quercus serrata)の樹皮を対象とし実験を行った。粉砕した樹皮にそれぞれのアルカリ金属の1 mol m^<-3>塩化物溶液で振とう処理し,吸着させ, 1 mol m^<-3>酢酸アンモニウム(CH_3COONH_4)溶液と1 mol m^<-3>硝酸(HNO_3)溶液で吸着したアルカリ金属を溶出した。両樹種の樹皮ともに, Na^+とK^+は吸着させた量または,吸着させた量よりもわずかに多い量が溶出した。反対に^<133>Cs^+, Rb^+は吸着させた量に対して,スギ樹皮は^<133>Cs^+が57.6%, Rb^+が38.3%溶出され,コナラ樹皮では^<133>Cs^+が20.6%, Rb^+が30.2%が溶出し,処理した^<133>Cs^+やRb^+の多くは溶出されず樹皮に強く固定されていた。2012年5月に福島県で採取したコナラ樹皮について同様に1 mol m^<-3> CH_3COONH_4溶液と1 mol m^<-3> HNO_3溶液に対する^<137>Csの溶出量を調べた結果,そのほとんどは溶出されず, ^<137>Csの抽出率はいわき市で採取したサンプルのCH_3COONH_4溶液抽出したもので2.1%であったが,他のサンプルはいずれも0.1〜0.4%と非常に低かった。本研究から,一度樹皮に固定されたCsは容易に溶出しないことが明らかになった。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.18922/jjfe.55.2_69
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/110009804559
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00124077
URL
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfe/55/2/55_KJ00009282306/_article/-char/ja/
ID情報
  • DOI : 10.18922/jjfe.55.2_69
  • ISSN : 0388-8673
  • CiNii Articles ID : 110009804559
  • CiNii Books ID : AN00124077

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