共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2022年3月

潜在的な階層性をもつ非言語行為の意図推定過程の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)
  • 日高 昇平

課題番号
20H04994
体系的課題番号
JP20H04994
配分額
(総額)
2,600,000円
(直接経費)
2,000,000円
(間接経費)
600,000円

他者行動の観察からその“意図”を推定するためには、どのような機序が必要だろうか。本研究では、非言語的行為に潜在する意図推定の計算論的メカニズムの解明を目的とし、運動における「意図性」と「階層性」の関係を捉える計算モデルの構築を行った。
本研究では、動きに潜在する「意図性」の特性・要因を定量化するために、1つまたは2つの点列の動きを提示されたときに人が知覚する意図性や生物性、随伴性についての認知心理学的実験を行った。この実験では、点列の間の相関係数やグレンジャー因果量などの統計量を統制し、これらの動きの統計的性質と人の知覚する随伴性・意図性・生物性との関係を分析した。この分析結果から、随伴性、意図性や生物性はそれぞれ異なる動きの統計的性質と関連することが示唆された。
次に、動きに潜在する「階層性」の特徴を捉えるために、運動する身体の制約と、その運動によって達成しようとする課題の構造との関係を数値実験によって調べた。具体的には投球課題の難易度を目標までの距離によって操作し、その目標に到達可能な状態空間上の運動の性質を、数理モデルおよび深層強化学習モデルを用いて分析した。その結果、同一の身体的な制約の下では、課題難度が上がるほど状態空間上の軌跡に集合が減少し、その集合が曲線から1点へと質的に変化する分岐点で、身体運動の不良設定性が解消されることが明らかになった。この結果は、複数の身体部位を同時に協調的に制御する際に生じる運動の不良設定問題を解消し、身体運動における階層構造を特定するための手がかりになると考えられる。
以上の2つの研究から運動の意図性の推定を可能とする計算機序、および運動における不良設定性を解消するための方策の一端が明らかになったと考えられる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-20H04994
ID情報
  • 課題番号 : 20H04994
  • 体系的課題番号 : JP20H04994

この研究課題の成果一覧

論文

  4

講演・口頭発表等

  3