共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

気候変動リスクへの主観的確率評価が資産価格に与える影響について理論・実証的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K01583
体系的課題番号
JP21K01583
配分額
(総額)
2,210,000円
(直接経費)
1,700,000円
(間接経費)
510,000円

本研究は,気候変動に由来する経済的被害が資産価格や経済厚生にどのような影響を与えるのか?また,現実の金融市場において,投資家は気候変動に関するリスクをどのように認識しているのか?について分析する.本研究では,気候変動リスクをある種のレア・ディザスター(Rare disasters, 以下では大惨事と表記)と捉え,大惨事リスクを考慮した資産価格モデルを用いる.従来の大惨事リスクと異なる点は,気候変動は経済活動によって内生的に生じる点と,その経済的な被害の規模について非常に大きな不確実性があり主観的な確率評価が資産価格決定に重要な役割を果たすことにある。当該年度には、主に2つの研究を遂行した。第1に、気候変動に由来する経済的大惨事の確率が炭素税や温室効果ガス削減のための政策的対応により内生的に変化する環境における望ましい政策の特徴づけである。特に、気候変動に対して悪影響を与えるセクター(ブラウンセクター)と、中立的なセクター(グリーンセクター)の二部門からなる確率成長モデルを構築し、大惨事の発生確率が変化する環境における望ましい炭素税と気候変動対策政府支出の組み合わせについて分析を行った。第2に、2019年以降世界経済に深刻な影響を与えたコロナウィルス感染症の流行と、この期間の株式市場、及びロックダウン政策の関係についての理論的分析を行った。コロナウィルス感染症の流行は気候変動とは直接的な関係があるわけではないが、「経済活動によって内生的に大惨事の発生確率が変化する」ことと「不確実性があり主観的な確率評価が資産価格決定に重要な役割を果たす」という点で、気候変動のために開発した理論モデルを応用できると判断したためである。そして、コロナ期の世界的な株価の推移を再現するような理論モデルを構築し、その下でのロックダウン政策の厚生的含意を分析した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K01583
ID情報
  • 課題番号 : 21K01583
  • 体系的課題番号 : JP21K01583

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