2019年4月 - 2023年3月
古代メキシコの都市形成史:世界の知的体系化と物質化
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
本研究の目的は、メキシコ中央高原の形成期終末期(前100~後250年)から古典期前期(後250~450年)における社会変動の解明と歴史復元にある。形成期社会と古典期社会は、一般的にはテオティワカン(前150~後550/600年)における初期国家の出現を代表例として、社会の階層化、集約農耕の発展、交易網の発達といった特徴によって区分される。しかし本研究は、より重要な特徴として、パラダイム・シフトが起こったとの観点から考察を進めている。そして、この変化のデータは、古代メソアメリカ文明において、世界観を表現する機能を持っていたピラミッドから得られると考え、トラランカレカ遺跡(前800~後300年)の領域Aと領域Hに存在するピラミッドで、2020年7月から9月までの間、発掘調査を実施した。
領域Aのセロ・グランデ・ピラミッドの調査からは、最終時期に建造されたピラミッド(II期)とこれより古い時期のピラミッド(I期)の形状に大きな変化があったことが判明した。II期のピラミッドには、「火の神」と「水の神」の両方を崇める物質文化が認められるのに対し、I期では「水の神」のみの文化要素が確認されたことである。
領域Hの大基壇Hの調査では、この基壇は少なくとも5期の増改築が行われており、II期とIII期の形状が大きく異なっていたことが分かった。また、科学分析によって建築資材の強度に改良があったことが認められた。
紀元後70年ごろに起こったポポカテペトル火山の大噴火によって、メキシコ中央高原の社会構造は大きく変化したが、それはパラダイム・シフトという観念体系の根本的な変質にまで及んでいたと主張する貴重なデータを収集することができた。
領域Aのセロ・グランデ・ピラミッドの調査からは、最終時期に建造されたピラミッド(II期)とこれより古い時期のピラミッド(I期)の形状に大きな変化があったことが判明した。II期のピラミッドには、「火の神」と「水の神」の両方を崇める物質文化が認められるのに対し、I期では「水の神」のみの文化要素が確認されたことである。
領域Hの大基壇Hの調査では、この基壇は少なくとも5期の増改築が行われており、II期とIII期の形状が大きく異なっていたことが分かった。また、科学分析によって建築資材の強度に改良があったことが認められた。
紀元後70年ごろに起こったポポカテペトル火山の大噴火によって、メキシコ中央高原の社会構造は大きく変化したが、それはパラダイム・シフトという観念体系の根本的な変質にまで及んでいたと主張する貴重なデータを収集することができた。
- ID情報
-
- 課題番号 : 19H01347
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
3-
Boletín del Instituto de;Estudios Latinoamericanos de Kyoto (20) 29-59 2020年12月 査読有り筆頭著者
-
人類学研究所研究論集 (9) 51-71 2020年3月 査読有り招待有り
MISC
3-
考古学研究 68(4) 101-103 2022年3月30日 招待有り筆頭著者
-
日本イスパニヤ学会「会報」 (28) 13-16 2021年10月 招待有り
-
古代アメリカ学会会報 (44) 17-18 2019年7月 招待有り
書籍等出版物
2-
勉誠出版 2021年1月 (ISBN: 9784585222965) 査読有り
-
河出書房新社 2020年2月25日 (ISBN: 4309762921)
講演・口頭発表等
6-
第三回景観考古学・人類学研究会 2022年12月17日 招待有り
-
京都外国語大学ラテンアメリカ研究所講演会 2022年4月22日 京都外国語大学ラテンアメリカ研究所 招待有り
-
京都外国語大学ラテンアメリカ研究所第10回研究会 2020年10月22日 招待有り
-
オンライン学習 教養講座(第31回メキシコセミナー)日墨交流会主催/メキシコ・日本アミーゴ会協力/在日メキシコ大使館後援 2020年7月18日 招待有り
-
文化遺産国際協力コンソーシアム第13回中南米分科会 2020年1月20日 招待有り
-
定例アンデス文明研究会講座 2020年1月18日 招待有り