共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

古代メキシコの都市形成史:世界の知的体系化と物質化

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

課題番号
19H01347
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
17,160,000円
(直接経費)
13,200,000円
(間接経費)
3,960,000円

本研究の目的は、メキシコ中央高原の形成期終末期(前100~後250年)から古典期前期(後250~450年)における社会変動の解明と歴史復元にある。形成期社会と古典期社会は、一般的にはテオティワカン(前150~後550/600年)における初期国家の出現を代表例として、社会の階層化、集約農耕の発展、交易網の発達といった特徴によって区分される。しかし本研究は、より重要な特徴として、パラダイム・シフトが起こったとの観点から考察を進めている。そして、この変化のデータは、古代メソアメリカ文明において、世界観を表現する機能を持っていたピラミッドから得られると考え、トラランカレカ遺跡(前800~後300年)の領域Aと領域Hに存在するピラミッドで、2020年7月から9月までの間、発掘調査を実施した。
領域Aのセロ・グランデ・ピラミッドの調査からは、最終時期に建造されたピラミッド(II期)とこれより古い時期のピラミッド(I期)の形状に大きな変化があったことが判明した。II期のピラミッドには、「火の神」と「水の神」の両方を崇める物質文化が認められるのに対し、I期では「水の神」のみの文化要素が確認されたことである。
領域Hの大基壇Hの調査では、この基壇は少なくとも5期の増改築が行われており、II期とIII期の形状が大きく異なっていたことが分かった。また、科学分析によって建築資材の強度に改良があったことが認められた。
紀元後70年ごろに起こったポポカテペトル火山の大噴火によって、メキシコ中央高原の社会構造は大きく変化したが、それはパラダイム・シフトという観念体系の根本的な変質にまで及んでいたと主張する貴重なデータを収集することができた。

ID情報
  • 課題番号 : 19H01347

この研究課題の成果一覧

論文

  3

MISC

  3

書籍等出版物

  2

講演・口頭発表等

  6