共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

バナッハ環の間の等距離写像

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K13804
体系的課題番号
JP21K13804
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円
資金種別
競争的資金

今年度は,単位的C*環に値をとるリプシッツ環の間の複素線形等距離写像について研究した。先行研究として,有限次元単位的C*環に値をとるリプシッツ環の間の複素線形等距離写像についてはすでに知られていたが,それを無限次元C*環に値をとるリプシッツ環の間の複素線形等距離写像へ拡張した。単位的C*環が無限次元の場合は,複素数値リプシッツ環と単位的C*環の代数的テンソル積が,単位的C*環に値をとるリプシッツ環の真部分空間となる。よって,単位的C*環に値をとるリプシッツ環の元を代数的テンソル積の元で近似することができない。このことが,無限次元ベクトル空間の難しさであったが,ノルム空間において古典的な概念として知られているT-集合をセミノルム空間においても適用できるように拡張して定義した。それを用いて双対空間の単位球を考察することで,単位的因子C*環に値をとるリプシッツ環の間の単位的複素線形等距離写像の特徴づけを与えた。結果として,単位的因子C*環に値をとるリプシッツ環の間の複素線形等距離写像は,C*環の間のJordan*同型写像と距離空間の間の等距離写像の合成作用素であることが分かった。
そこで次に,C*環に値をとる連続関数のなすバナッハ環とC*環に値をとるリプシッツ環の間のJordan*同型写像に関する研究を行った。Jordan*同型写像は,C*環の既約表現を通して,荷重合成作用素で表されることが分かった。これは,既に知られている結果の一般化となっており,今までは固有のC*環に対して得られていた特徴づけを,任意のC*環で成り立つ統一的な結果を得た。
また,バナッハ環の単位球面の間の全射等距離写像が,全体に拡張されるか?というTingley問題について,羽鳥理氏,冨樫瑠美氏と共同で関数環の場合を肯定的に解決した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K13804
ID情報
  • 課題番号 : 21K13804
  • 体系的課題番号 : JP21K13804

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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