2020年4月 - 2024年3月
生体内一細胞温度計測による定量熱生物学の開拓
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
- 課題番号
- 20H00335
- 体系的課題番号
- JP20H00335
- 担当区分
- 研究分担者
- 配分額
-
- (総額)
- 45,240,000円
- (直接経費)
- 34,800,000円
- (間接経費)
- 10,440,000円
本研究では、生物個体内の温度を細胞レベルの空間分解能で捉えるリアルタイム3次元温度計測顕微鏡を開発し、温度にもとづく生命活動の定量化を実現することを目的としている。今年度は、申請者らが開発したダイヤモンド量子ナノセンシング技術をモデル生物である線虫(C. elegans)に適用した研究の追加実験を行い、最終的に成果をScience Advances誌に発表した。また、温度センシングにおいて励起光強度依存性のアーティファクトが観測されていたが、その原因が蛍光NDの新奇な物性に由来していることを解明し、成果をPhysical Review Research誌に発表した。この新奇物性はアンサンブルNV中心が利用される微弱光領域でのみ現われる現象であり、蛍光NDの量子センシングにとって今後重要となると考えられる。また、温度計測技術の二次元光検出への展開においては、超高感度CCDカメラを用いた計測システムを構築した。カメラを用いた場合と光子検出器を用いた場合の温度測定感度を定量的に比較し、検出光子レートが決まれば、どちらの検出機を用いても同等の感度が得られる事を解明した。この検出技術に関する成果はScientific Reports誌に掲載された。さらに、蛍光NDを線虫に効率よく導入する実験にも取りかかった。蛍光ND表面の化学修飾状態を変化させた複数の蛍光NDを準備した。これらの蛍光NDは培養細胞への取り込み効率が上昇することを確認できたが、線虫への経口投与においては、線虫培地内で蛍光NDが凝集するなどの現象が見られ、現在、ラベリングの効率化には成功していない。今後、様々な可能性を検証していくことが必要であることが分かった。
- ID情報
-
- 課題番号 : 20H00335
- 体系的課題番号 : JP20H00335
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
1-
Nanotechnology 32(48) 482002-482002 2021年9月8日 査読有り責任著者