共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年 - 2016年

薬物動態・薬理遺伝学に基づく腎癌分子標的薬の個別化投与設計法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究  奨励研究

課題番号
16H00518
配分額
(総額)
570,000円
(直接経費)
570,000円
(間接経費)
0円

【目的】現在、根治切除不能または転移性の腎癌では、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)4種(ソラフェニブ、スニチニブ、アキシチニブ及びパゾパニブ)と哺乳類ラパマイシン標的蛋白質阻害薬(mTORi)2種(エベロリムス及びテムシロリムス)を順次使用する逐次治療が行われている。腎癌患者の生存期間を延長させるためには、それぞれの分子標的薬をできる限り長く使用することが重要であるが、骨髄抑制、手足症候群及び消化器症状等の多彩な有害事象が早期に出現し、減量または中止に至ることが多い。そこで本研究では、各腎癌分子標的薬を投与した患者の血中濃度と抗腫瘍効果、有害事象及び遺伝子多型との関連性を解析し、薬物動態・薬理遺伝学に基づく精度の高い個別化投与設計を実現し、腎癌患者の生存率向上及び安全な化学療法の遂行に寄与することを目的とする。
【方法】1. 高速液体クロマトグラフータンデム型質量分析計(LC/MS/MS)を用いて、4種TKIの血漿中濃度の同時かつ迅速な一斉測定法を構築する。2. 各分子標的薬の血中濃度と抗腫瘍効果及び有害事象の関連性については、最少有効濃度及び最少中毒濃度をReceiver Operating Characteristic(ROC)曲線により解析する。また、分子標的薬の薬物動態に関与の報告がある薬物トランスポーター(ABCG2、ABCB1)及び肝代謝酵素(CYP3A5)の遺伝子多型解析を行い、血中濃度の個体間変動との関連性について精査する。
【結果】LC/ESI-MS/MS法の質量分析計はLCMS-8050、分離カラムはInertsil ODS-3 C18、移動相は10mMギ酸アンモニウム溶液とアセトニトリル溶液を使用した。重水素標識したimatinibを用いた内部標準法で検量線を作成した結果、各薬剤ともに良好な直線性を示した。この一斉測定系を用いて、18名の腎癌患者におけるTKIの薬物血中濃度測定を行った。

ID情報
  • 課題番号 : 16H00518