2010年4月 - 2012年3月
第二言語読解における心的表象構築過程と段階的推論生成メカニズムの解明
日本学術振興会 特別研究員奨励費 日本学術振興会特別研究員(DC2) 特別研究員奨励費
研究1では、学習者がどれほど素早く橋渡し推論を生成するのかを検証した。先行研究から英語母語話者は文章を読んだ500ms後には橋渡し推論を生成することが示されているが(Magliano,Baggett,Johnson,& Graesser, 1993)、英語学習者がどのタイミングで生成するのかはこれまで検証されてこなかった。実験協力者はパソコン画面上で2文1組の文章を1文ずつ読み、500ms後に推論に関連する単語(プローブ語)が提示され、その語が文章内に実際に出てきた単語かどうかをYes/Noで素早く判断した。分析の結果、英語学習者は母語話者と同様に、500ms後には局所的橋渡し推論を生成していることが明らかになった。
研究2では、学習者の橋渡し推論生成がどのような読みのプロセスを経て起こっているかを、発話プロトコル法を用いて検証した。協力者には文章が1文ずつ提示され、読みながら考えたことを発話させた。発話は録音され、2名の評価者によって11個のカテゴリーに分類された。分析の結果、説明文において英語熟達度上位群が下位群よりも橋渡し推論の生成量が有意に多いことや、下位群は説明文を読む際に文の意味分析に注意を割くことで橋渡し推論の生成量が下がるトレードオフが生じていることが明らかになった。
このことから、日本人EFL(English as a foreign language)学習者の推論生成プロセスはL1と類似したプロセスが使用されているが、学習者の英語の流暢さのレベルやL2テキストの特性によって影響を受けることが示唆された。
研究2では、学習者の橋渡し推論生成がどのような読みのプロセスを経て起こっているかを、発話プロトコル法を用いて検証した。協力者には文章が1文ずつ提示され、読みながら考えたことを発話させた。発話は録音され、2名の評価者によって11個のカテゴリーに分類された。分析の結果、説明文において英語熟達度上位群が下位群よりも橋渡し推論の生成量が有意に多いことや、下位群は説明文を読む際に文の意味分析に注意を割くことで橋渡し推論の生成量が下がるトレードオフが生じていることが明らかになった。
このことから、日本人EFL(English as a foreign language)学習者の推論生成プロセスはL1と類似したプロセスが使用されているが、学習者の英語の流暢さのレベルやL2テキストの特性によって影響を受けることが示唆された。
- ID情報
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- 課題番号 : 10J02133
- 体系的課題番号 : JP10J02133