2017年3月
生体組織硬度計を用いた子宮頸管硬度定量化の試み
秋田県産科婦人科学会誌
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- 巻
- 22
- 号
- 開始ページ
- 51
- 終了ページ
- 55
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 秋田県産科婦人科学会
産婦人科臨床において子宮頸管の熟化を判断する際には、手指による内診が一般的である。しかし、この手技は主観的であり検者間誤差が存在しうる。特に、硬度に関しては、定量化する技術が確立しておらず再現性が無い。今回、我々は整形外科領域で使用されている生体組織硬度計を改良し子宮頸管の硬度を定量化する試みを行った。検者間誤差がどの程度存在するか、硬度の異なる頸管モデルを用いた内診テストを行った。頸管モデル硬度別におおむね内診所見が一致する傾向が見られたものの、検者間のばらつきが見られた。当院で帝王切開を予定した、妊娠37週以降の妊婦74名を対象とした。区域麻酔後に腟鏡で子宮頸部を展開し、硬度計で頸管硬度を測定した。その後、内診にて子宮頸管硬度を3段階(硬・中間・軟)で評価した。硬度計の再現性評価のため、27名には硬度計・内診ともに検者2名ずつ計測を行った。級内相関係数による検者内誤差は0.650、検者間誤差は0.641であり、検査精度は中等度であった。一方、内診所見の一致率は81.5%(22/27)であった。のべ100回の内診にて分けた3群間の硬度の平均は、軟16例:39.5±4.3mm、中間41例:37.8±7.1mm、硬43例:39.2±4.3mmであり、有意差はなかった。通常、硬度値は組織が硬いほど高い値を示すが、中間よりも軟の硬度平均値が高い結果となった。これは、頸管が柔らかすぎて児頭まで圧迫してしまった可能性が考えられたため、3群間の展退の違いを検討したが、軟と中間の2群間には有意差は無く、原因は不明であった。硬度計の再現性は中等度であったが、内診により分けた3群間の硬度値に有意差が無かった。測定の煩雑さ、疼痛・出血の可能性があるため臨床使用にはさらなる改良が必要と考えられた。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 2188-0212
- 医中誌Web ID : 2017224060