基本情報

所属
デンマテリアル株式会社 色材科学研究所 非破壊分析研究室 取締役 技術顧問 (名誉教授)
吉備国際大学 名誉教授
学位
博士(理工学)(いわき明星大学)

研究者番号
80341147
J-GLOBAL ID
201201039627839992
researchmap会員ID
B000221911

氏名:下山 進(しもやま すすむ)
生年月日:昭和20年(1945年)6月12日 群馬県館林に生まれる
専門分野:文化財非破壊分析
学位記:博士(理工学) いわき明星大学 大学院 理工学研究科 物質理工学専攻 博士課程 平成10年(1998年)3月 取得
学位論文「三次元表示蛍光スペクトルによる古代染織遺物及び浮世絵版画に使用された染料の非破壊的同定法に関する研究」

共役系が発達した有機染料(色素)は蛍光性をもつものが多いことから、光ファイバーにより小面積部分(3mmφの局所部分)への光の照射(励起光照射)とそこからの蛍光検出を行うシステムを構築し、励起光の波長、蛍光の波長、そして蛍光強度の三つをパラメーターとする三次元蛍光測定を通して、計測された等高線パターンを標準試料と比較し、非破壊的に染織物に用いられた染料の同定に成功した(1991年)。そして、この研究によって開発した「光ファイバーを用いる三次元蛍光スペクトル非破壊分析法」を浮世絵版画に適応し、使用されている染料色材を明らかにした(1997年)。その後、文化財の色材に無機顔料が使用されていることから、移動不可能な大型の試料であっても、携帯型でX線管理区域を必要とせず、所望する小面積部分の元素分析が可能な蛍光X線分析装置の開発を進め、アメリシウム241や鉄55などの低レベル放射性同位元素を線源として蛍光X線分析ができるシステムを構築し、日本古来の絵馬に使用された無機顔料の非破壊同定に成功した(2000年)。さらに、可視-近赤外領域における長波長側の反射スペクトルに現れるパターンによって、同じ色相を持つ露草、藍、そしてプルシャンブルー(ベロ藍)が識別できることを発見し、光ファイバー接続簡易携帯型分光器を用いる「可視-近赤外反射スペクトル非破壊分析法」を構築した(2005年)。
現在、上記の研究によって開発した「三次元蛍光スペクトル非破壊分析法」「低レベル放射性同位元素を線源とする蛍光X線非破壊分析法」そして「可視-近赤外反射スペクトル非破壊分析法」を駆使して、古代染織物や日本古来の浮世絵版画などに用いられていた染料や顔料などの色材調査を進めている。また、平面構造の大型試料を並行移動させながら面分析できるように改造したX線ビーム光を照射するX線分析顕微鏡によって油彩画断層絵具層の解析などを行い、最近では蛍光エックス線発生器 Mini-X を使用した微小部蛍光エックス線分析装置を構築している。


経歴

  21

論文

  58

MISC

  21

書籍等出版物

  3

講演・口頭発表等

  21

共同研究・競争的資金等の研究課題

  11

産業財産権

  6

その他

  1
  • 【1.教育内容・方法の工夫(授業評価等を含む)】 特になし 【2.作成した教科書、教材、参考書】 1)オンデマンド授業コンテンツ「文化財から学ぶ歴史と科学~文化財を探るサイエンス~」:X線や紫外線、可視光線などの光に対する物質の応答から文化財に使用された素材を解析する文化財非破壊分析法を理解し、その分析結果から文化財が制作された当時の歴史を考察し、さらには現代に活かすことができる科学的な情報が得られることを学ぶ教材。平成16年(2004年)10月 2)DVD「よみがえる文化財~美術作品の修復現場から~」:西洋美術、東洋美術および文書典籍の修復技術、そして文化財の非破壊分析技術を数多くの図版と動画を用いナレーションによって解説した参考書。平成17年(2005年)3月 3)デジタル・アーカイブ「文化財修復技術」:文化財所蔵先での現地調査、作品の梱包移送、修復研究施設(吉備国際大学・文化財総合研究センター)での受け入れ、そして適切な修復計画の立案に必要となる科学的非破壊分析調査と修復作業をデジタルハイビジョンで収録しコンテンツを制作。平成17年(2005年)3月(文化庁文化遺産オンライン事業として受託) 4)メディア授業「科学の目で見る文化財」:メディアを利用した授業を受講する学生を対象として、科学的な文化財非破壊分析法によって解明された新事実を紹介しんがら、科学の目で見ることによって何が解るのか講義するオンデマンド教科書。平成21年(2009年)4月 【3.教育方法・教育実績に関する発表、講演等】 1)オンデマンド授業流通フォーラム「第3回設立準備研究会」:オンデマンド講義「文化財から学ぶ歴史と科学」を紹介し、オンデマンド授業の可能性と特色について発表。平成17年(2005年)1月(立命館大学) 2)岡山大学・吉備国際大学合同シンポジウム「e-Learningによる教育の情報化」:ブロードバンド・ネットワークを活用したコンテンツの開発と授業への実践的導入事例を紹介し発表。平成17年(2005年)2月(岡山大学) 3)第53回 中国・四国地区 大学教育研究会 第1部会「新しい大学教育プログラムの開発」:オンデマンド授業に使用されるコンテンツの制作、これによる授業運営、評価法について紹介し発表。平成17年(2005年)5月(徳島大学) 4)岡山理科大学・吉備国際大学・岡山大学 3大学合同シンポジウム「教育の情報化フォーラム~e-Learningで岡山の大学教育を拓く~」:吉備国際大学から早稲田大学に配信しているオンデマンド授業「文化財から学ぶ歴史と科学」のコンテンツ制作から配信運営の事例と現在取り組んでいるオンデマンド授業プログラムを紹介し発表。平成18年(2006年)3月(岡山理科大学)