MISC

2016年12月

母体全身性エリテマドーデスに関連した血球貪食性リンパ組織球症の新生児例

日本周産期・新生児医学会雑誌
  • 桑名 翔大
  • ,
  • 内田 俊彦
  • ,
  • 佐藤 信一
  • ,
  • 小野寺 幸子
  • ,
  • 渡邉 達也
  • ,
  • 齋藤 潤子
  • ,
  • 大内 勇児
  • ,
  • 鳴海 僚彦

52
4
開始ページ
1135
終了ページ
1138
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本周産期・新生児医学会

症例は日齢2の男児で、母体は全身性エリテマトーデス(SLE)で、治療中であった。妊娠前からプレドニゾロン(PSL)内服で管理され、妊娠中はPSL 10〜30mg/日を内服し、妊娠後期からは10mg/日内服で管理された。過去3年の検査所見で抗ds-DNA IgG抗体は10IU/mL前後、抗SSA抗体は400〜500U/mLで推移した。妊娠経過中・分娩までに心拍数を含む胎児異常や母体の感染徴候はなく、38週4日、吸引分娩で出生し、Apgarスコアは8/1分、9/5分であった。出生時観察で異常は指摘されず、NICU入院管理となった。体温は日齢2でも38.5℃以上で推移し、血液検査所見で白血球、血小板が減少し、経皮的酸素飽和度の低下や無呼吸発作を併発し、緊急搬送となった。心拍数は108/分と比較的徐脈で、脾臓が3cm触知されたが肝腫大はなかった。周期性呼吸と軽度の陥没呼吸を認めたが呼吸音に異常はなかった。全身皮膚は蒼白で毛細血管再充満時間は3秒であった。好中球と血小板が低下し、AST/ALTやLDHといった逸脱酵素、CRP、フェリチンの上昇を認めた。末梢血中のマクロファージによる血球貪食像は指摘できなかった。原因不明の血球貪食性リンパ組織球症(HLH)としてデキサメタゾン(DM)投与した。細菌感染や単純ヘルペスウイルスによるHLHも否定できずアンピシリン、メロペネム、アシクロビルおよび免疫グロブリンによる治療を併用した。日齢3には解熱し、無呼吸発作も消失した。単純ヘルペス抗体価およびPCRが陰性を確認後、抗菌薬、抗ウイルス薬治療を中止した。日齢12に検査所見がほぼ正常化し、DM投与を中止した。HLH再燃を示唆する所見はなく日齢26に退院した。2歳時点で体格、発達は正常範囲で推移し、HLHを再発することなく経過している。

リンク情報
URL
https://search.jamas.or.jp/default/link?pub_year=2016&ichushi_jid=J04116&link_issn=&doc_id=20161222430022&doc_link_id=%2Fdy1jspnm%2F2016%2F005204%2F022%2F1135-1138%26dl%3D0&url=https%3A%2F%2Fwww.medicalonline.jp%2Fjamas.php%3FGoodsID%3D%2Fdy1jspnm%2F2016%2F005204%2F022%2F1135-1138%26dl%3D0&type=MedicalOnline&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00004_2.gif
ID情報
  • ISSN : 1348-964X
  • eISSN : 2435-4996
  • 医中誌Web ID : 2017129425

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