2021年4月 - 2024年3月
神経変性疾患の創薬バイオマーカーたる脳内免疫系PETイメージングの開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患において、異常タンパクの蓄積やそのタンパクが神経細胞障害をきたす過程に、ミクログリアやアストロサイトなど脳内の免疫を担当する細胞の機能異常が、深く関わっていることが明らかになってきた。そこで、これらの免疫細胞の機能を標的とした治療法の開発が進みつつあるが、臨床利用できる画像バイオマーカーの信頼性は十分ではない。本研究では、脳内の免疫機能に関わり、創薬標的として有望とされる分子を可視化する新規PETリガンドの開発を行い、神経変性疾患の新規治療法開発に役立てることを目的とする。本年度は、ミクログリアの分化・生存に必須な分子であるcolony-stimulating factor 1 receptor(CSF1R)を標的とした新規PETリガンド[11C]NCGG401について、短寿命放射性薬剤臨床利用委員会において、その製造と非臨床安全性について審査を受け、承認された。さらに、健常ボランティアを対象とした安全性・有効性試験の研究計画を特定臨床研究を立案し、認定臨床研究審査委員会で、審査承認された。この臨床研究では、まず健常ボランティア約3名を対象とし、[11C]NCGG401注射液を投与し、全身のダイナミック撮像を行いその全身動態を明らかにする。さらに、その全身動態から、[11C]NCGG401注射液の単位放射能量投与時の被曝線量を推定する。次に、健常ボランティア約6名を対象とし、[11C]NCGG401注射液を投与し、頭部のダイナミック撮像と、動脈血中放射能濃度測定および代謝物分析のための動脈血採血を行う。得られた結果を定量解析し、このPET薬剤の有効性を評価する。全ての症例において、PET検査前後と2日後に尿血液検査を実施し、その安全性を評価する。
- ID情報
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- 課題番号 : 21H02876
- 体系的課題番号 : JP21H02876