MISC

2019年6月

「希少がん」軟部肉腫のキナーゼ阻害剤著効例に基づいた新規治療法開発

臨床薬理の進歩
  • 末原 義之
  • ,
  • 高阪 真路
  • ,
  • 山口 茂夫
  • ,
  • 林 大久生
  • ,
  • 齋藤 剛
  • ,
  • 間野 博行
  • ,
  • 加藤 俊介

40
開始ページ
96
終了ページ
102
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(公財)臨床薬理研究振興財団

Tyrosine kinase(TK)阻害剤であるpazopanib著効例の高悪性軟部肉腫手術検体の次世代シークエンサー(NGS)解析、網羅的リン酸化タンパク質解析を進めた。プロファイリングされたキナーゼ遺伝子変異、リン酸化タンパク質の動態に注目し、検証コホートによる変異・発現検証およびin vitro、in vivoの機能解析を進め、pazopanibの個別化(オーダーメイド)治療開発を目指した。pazopanib著効例の手術検体(79歳女性、右腋窩原発の進行軟部肉腫の原発検体、未分化多形肉腫)を対象とし、網羅的な遺伝子変異解析・発現解析を行った。比較検証サンプルとして収集された軟部肉腫25例(紡錘型細胞肉腫)について検証解析を行った。RNAシークエンス解析の結果、pazopanib著効例特徴的遺伝子変異としてPDGFRB exon 13 skippingの同定に成功した。PDGFRBのリン酸化発現が正常部と比較して腫瘍内で高発現していることを確認した。ウエスタンブロット法でPDGFRBのタンパク質が高発現していたことおよびRNAシークエンス解析にて染色体部位12q13-14の遺伝子増幅(GeneA、GeneB部位(仮名))を認めていることより、比較検証サンプルおよび著効例の腫瘍部検体のPDGFRB、GeneA、GeneB遺伝子のmRNA発現検証を行った。その定量的PCRにて、PDGFRBは比較検証サンプル群と比して中等度高発現、GeneA、GeneBは10倍以上の高発現を認めた。フォーカスフォーメーションアッセイおよびウエスタンブロット法により、GeneAの高発現がpazopanibのターゲットであるPDGFRBの高発現を誘導している可能性が示唆された。

ID情報
  • ISSN : 0914-4366
  • 医中誌Web ID : 2019299749

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