基本情報

所属
富山大学 学術研究部人文科学系 准教授
学位
博士(文学)(課程)(2009年3月 京都大学)
修士(哲学)(2008年10月 プロヴァンス大学)

連絡先
shinjihmt.u-toyama.ac.jp
J-GLOBAL ID
200901092371639322
researchmap会員ID
5000059443

外部リンク

ライプニッツをはじめとする17-18世紀の古典期(l'âge classique)の哲学を研究・教育活動の軸としつつ、近・現代の論理・数学思想を、哲学的観点から研究しています。また、歴史を通じて数学と哲学のあいだの相互影響関係を考える、「数理哲学史」という分野に関心を持っています。

数学史は、数学の技術的発展を描き数学内部の理解に閉じがちですが、実際は、当時の哲学・思想とのあいだに綿密な関係をもっていました。明証的な知を与える基礎学問として数学が考えられたデカルト以降の近世哲学の発展は、数学と不可分な関係にありました。その中には数学的業績として数学史には残らずとも、哲学的には大きな影響をもった考えなどもあるでしょう。私の考える「数理哲学史」では、そうした数学と哲学の関係から生成される思想を浮かび上がらせることを目標としています。

これまで、主題として、「連続体の迷宮」をめぐる諸問題を、数学・認識論・形而上学という複合的領域において研究してきました。それは、幾何学的には点と線の関係をめぐる問題であり、解析的には無限と無限小の問題です。また、認識論的には知性と想像力、像と観念、表象と概念の関係をめぐる問題であり、形而上学的には、点や線、位置や空間、非存在と存在など、数学的存在のカテゴリーをめぐる問題です。歴史的には、ゼノンのパラドクスに由来し、現代では空間論・時間論の主題となる、哲学の伝統的な主要問題です。

近代初頭の哲学者たちと同様に、ライプニッツにおいても、数学と哲学(認識論・形而上学)は互いに不可分なものでした。これまで、数学史や哲学史において、それぞれ個別の領域で専門的な研究がなされてきましたが、当時の時代にしたがって誠実に理解するには、哲学と数学の双方を抑える必要があります。

時間、テクスト、そしてテーマの範囲を限定し、概念の発展を丁寧に追う歴史研究のメソッドを尊重しつつ、私が本当にやりたいのは、歴史的事実の解明から浮かび上がる、連続体の哲学です。現代的にこの問題を探究するには、高度な数学的知識が必要であり、数学を専門的に研究するのでなければ、ほとんど不可能なものとなっています。そして、それを哲学と結びつけるためには、高度な哲学的知識が必要になるのは言うまでもありません。

時間のかかる分野であり、余裕のあまりない現代では、ディシプリンとしての成立そのものが疑問視されます。しかし、専門分化が進展し、知的交流が困難な今の時代だからこそ、学問の起源にあるモチベーションに遡ることの意義があるとも言えるのではないでしょうか。

17世紀は哲学と数学の関係を探るのに、理想的な時代と言えます。両者の関係を、近代科学黎明期に探ることで、専門分化して異分野との交流が難しい現代において、何らかの統一的観点を得るてがかりになればと考えています。数学と哲学と歴史、そしてその研究のための複数の言語を修めなければならない数理哲学史という分野は、かなりハードな領域といっていいでしょう。しかし、歴史的に未踏な部分も多く、やれることはいくらでもあります。まだまだ力が及びませんが、やりがいのある研究に挑戦しています。

委員歴

  3

受賞

  1

論文

  19

MISC

  8

書籍等出版物

  8

講演・口頭発表等

  37

共同研究・競争的資金等の研究課題

  6

学術貢献活動

  2