2012年
鹿児島県吹上浜の砂浜海岸の潮間帯に出現した多毛類
水産大学校研究報告
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- 巻
- 61
- 号
- 2
- 開始ページ
- 65
- 終了ページ
- 74
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(大学,研究機関等紀要)
- 出版者・発行元
- 水産大学校
外海に面した開放的な砂浜海岸は波浪環境が厳しいため,生物を寄せ付けない過酷な環境だと思われがちだが,実際には,多くの生物が生息することが明らかにされている。ヒラメやシロギスをはじめ水産上有用な魚類も多く生息し,それらは砂浜潮間帯のマクロファウナを主要な餌生物としており,砂浜のサーフゾーンが水産資源の摂餌場所としての機能を有することもしだいに明らかにされてきた。潮間帯のマクロファウナは多くの動物グループからなるが,多毛類はその重要な構成員であると同時に,多くの魚介類の餌生物として水産上の重要性も有する。多毛類の多くは泥分の多い底質を好むため,とくにそのような環境が広がる内湾域に生息する多毛類については非常に多くの研究があり,中には,底質環境の指標種としての利用可能性を示唆したような,環境保全面での応用的な研究もみられる。一方,砂浜における多毛類の生態については内湾や干潟域ほどには研究が進んでおらず,とくに,波浪環境の厳しい開放的な砂浜海岸についてはわずかな研究例しかみられない。著者らの研究グループは,開放的な砂浜海岸の生態系を解明するため,鹿児島県の吹上浜をモデルとした研究を2000年から継続しており,これまでに,サーフゾーンに出現する魚類の食性,サーフゾーン内における甲殻類の出現種や魚類の主要な餌生物であるアミ類の潮間帯内での分布などを明らかにしてきた。一方,アミ類と同様に,サーフゾーン魚類の消化管内容物にも多く観察される多毛類については,出現種すらもほとんど知られていない。そこで,本研究では,砂浜生態系に関する基礎的な知見の収集を目的として,吹上浜の潮間帯に分布する多毛類の種を明らかにすることにした。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0370-9361
- J-Global ID : 201302216926068161
- CiNii Articles ID : 40019672252
- CiNii Books ID : AN00124678