共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

仮骨延長術におけるエピジェネティック修飾による骨再生促進法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K11531
体系的課題番号
JP17K11531
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

頭蓋顎顔面領域における骨の手術で骨再生能力の低下が治療結果に悪影響を与える場合がしばしばある。代表的なものは、口蓋裂手術後の顎変形や複数回の手術を要する頭蓋縫合早期癒合症である。これらの状態においては骨再生を担う骨分化能を持った幹細胞の不足や血管新生や骨分化を促進するサイトカインを分泌する周囲の細胞、周囲微小環境そのもの不足が複合的に合わさり骨新生とその成熟が大幅に遅延する。骨新生の不足は強度不足により不安定性を招き、術後の後戻りなどの手術結果不良の原因となる。我々はこの問題を解決するには細胞の骨新生に関わる働きを増強することが必要だと考えている。従来、この問題に対しては細胞増殖因子などの外因性因子の投与によるアプローチがなされてきたが問題を解決するには至っていない。そこで、我々はDNA配列が同じで細胞が異なる機能を持つことについての根幹的なメカニズムであるエピジェネティクスに注目した。エピジェネティクスはDNA配列を変えずに遺伝子発現を制御し細胞の分化を決定づける因子である。骨新生に関わる細胞群の骨関連遺伝子のエピジェネティクスの研究はこれまで殆ど行われてこなかった。今回、我々は骨新生部を取り巻く環境中に存在する脂肪幹細胞とそれに関連する細胞の骨分化関連遺伝子のエピジェネティクスに注目した骨新生に取り組んだ。エピジェネティクスのメカニズムの一つであるDNA CpGサイトのメチル化について、脂肪組織幹細胞とそれに関連する細胞との間で差がみられ実際の骨治癒を考えるうえで重要と考えられた。また、より動的なエピジェネティクスであるヒストン修飾についても脂肪組織幹細胞とそれに関連する細胞との間で差がみられた。これらの細胞の数や状態の違いが骨新生部での細胞機能に影響を及ぼすことが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K11531
ID情報
  • 課題番号 : 17K11531
  • 体系的課題番号 : JP17K11531