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研究ブログ

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自閉症児の発達単元267

E・ショプラー他著、佐々木正美他訳、岩崎学術出版社、1988年、6090円。
さすがに古典的といえるほど古い本になってしまったけれど、TEACCHプログラムの神髄がこの本に凝縮されている。発達に問題のある子どもに対して何をしたらいいかわからないと思い悩んでいた研修医時代に、この本が非常にたくさんのヒントを与えてくれた。今振り返って読み直してみても斬新なアイデアに出会える。行動面の問題にたいしても具体的な対応のヒントがあり非常に参考になる。
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自閉症へのABA入門 親と教師のためのガイド

シーラ・リッチマン著、井上雅彦ほか訳、東京書籍、2003年、1800円。
これも10年以上まえに出版された書籍だが、応用行動分析の基本的な部分についてはこれ1冊で必要十分、というかこれ以外にABAの本は読んでいない。自閉症の療育はもちろんABAやTEACCHだけではないけれど、いろいろな方法論について概要を知っておくことは臨床医にとっては必要なことであり、かつこの本に書かれていることは日常の臨床場面でも十分に使用できる。すなわち養育者へのアドバイスをするにあたり、参考にすることができるということ。その意味でこの本の価値は高い。
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青年期自閉症へのサポート

佐々木正美監修、梅永雄二ほか著、岩崎学術出版社、2004年、2800円。
TEACCHプログラムによる青年期自閉症への支援。就労支援の章が具体的でよい。余暇支援という考え方も紹介されている。青年期にいたるまで支援体制がすでにできつつあるのだとこの本の出版された当時(2004年)に驚いたものだったけれど、今は障害の生涯支援という具合なのだろうか。特に多いと思われる大学生の生活支援についてはこの本には記載されていない。
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こうすればうまくいくADHDをもつ子の学校生活

リンダ・J・フィフナー著、上林靖子他訳、中央法規、2000年、1800円。
学校でできる行動療法的アプローチについて概説している。具体例も多い。ただ、これを読んでそのまま実行できるかどうかは疑問。難しいんじゃないかと思う。ただこれも10年以上前の著作なので、学校の現状にマッチしているかどうかはわからない。この本に記載されているような内容が、今の学校では常識的に行われているとしたらそれはすごいことだけれど。
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ADHDの明日に向かって

田中康雄著、星和書店、2001年、1900円。
ADHD本としてははしりのものだった。だがこの本の出版当時からすでにADHDはブームになっていたようだ。2000年前後は発達障害や児童精神医学(小児精神医学)が何となく注目を浴び始めた時期なのだろう。実践的なストラテジーはこの本の中ですでに語り尽くされているし、後発の書物はその内容は似たり寄ったりのものになる。秀逸なのは、この当時から医療と教育の連携をうたっていたことだが、逆にそのことによって過剰な「医療化」が始まってしまったとも言える。
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自閉症児の「きょうだい」のために

サンドラ・ハリス著、ナカニシヤ書店、2003年、1890円。
視点は当時斬新だったのだが。きょうだいにも目を向けよう、ときにはきょうだいの話に耳を傾けよう、きょうだいにも障害を理解してもらうように説明しよう、きょうだいに負担をかけすぎないように注意しよう、家族で協力しながら自閉症児を支援することは大切だ、という内容。内容的にはありきたりで訳も少々読みづらい。内容のわりに値段が高い。
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発達障害の豊かな世界

杉山登志郎著、日本評論社、2000年、1200円
杉山先生はたくさんの著作があってファン層も非常に広い方だが、個人的にはこの本が最もできがよいというか充実した内容だと思う。自閉症の体験世界についての解説が秀逸であるし、冒頭てる君のことの章は涙がでるほど美しい。臨床医が発達障害に対してどのように向かいあうべきかを示した最も早い著作であり、10年以上たった今もいささかも古くない。ただ、最近の氏の著作には少々食傷ぎみである。
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自閉症という謎に迫る

金沢大学子どものこころの発達研究センター監修、小学館新書、2013年、777円。
学術的な内容で、今、自閉症というのはとりあえずこんなふうに考えられています、ということを一般向けに解説した本。ちまたに自閉症本はあふれているけれど、やはりこれも「誰が書いても同じ」ような内容になるであろうことが予想される本でかつその予想はあたっていた。ワタシを含め手っ取り早く理解を追いつかせたい人には良い本だけれど、療育や対応のヒントとしては何一つ得られるものはない。
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あるがままに自閉症です

東田直樹著、エスコアール、2013年、1,050円。
当事者の内面的な部分の語りは、ポエムだったり療育への提言だったり解説だったり要望だったりさまざまなものが盛り込まれている。ドナ・ウィリアムズの著作よりはよっぽどわかりやすいし共感も可能で、体験世界を知る手がかりとしてはとてもよいものだと思う。告知のところが秀逸だと思う。ただ、あまり新しい発見は見いだせなかったかな。次回作も読みたいとは今のところ思わない。
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