2020年4月 - 2023年3月
ノロウイルス流行予測の基礎データとなるRdRpによるゲノム複製に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
2020年度に作製したノロウイルス(NV)の遺伝子全長(GII.4[P31])を挿入した哺乳類発現ベクターをHEK293FT細胞へトランスフェクションした。RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)が発現しRNAの複製が行われているかを確認するために以下のような実験を行った。
(1)Capsid構成タンパクVP1の検出:RdRpはNV遺伝子の一部をsubgenomic RNA(sgRNA)として複製し、VP1はsgRNAから翻訳される。市販のポリクローナル抗体を用いてWestern blottingを行ったが、VP1は検出されなかった。
(2)抗RdRpポリクローナル抗体の作製: Infusion-cloning法により大腸菌発現ベクターpET-28aにRdRpをコードする配列(His×6末端)を導入した。RdRpタンパク発現及び抗体作出は株式会社バイオロジカに委託した。抗体が入手出来たらWestern blottingなどによりRdRpの検出を試みる。
(3)Real-time RT-PCRによるNV RNA検出:トランスフェクション後24~72時間の細胞からTotal RNAを抽出し、NV GIIを検出するReal-time RT-PCR(Primer:COG2F/COG2R、Probe:RING2AL-TP(「国立感染症研究所 病原体検出マニュアル ノロウイルス令和元年6月」))に供した。このとき、サンプルにはベクターDNAが残存しているため、逆転写酵素を含まない反応チューブを用意し、比較することでRNA量を推察した。結果として、24~48時間に採取したサンプルでノロウイルスRNAが検出された。ただし、導入したベクターからRNAが転写される過程は宿主細胞由来RNAポリメラーゼにより行われるため、RdRpによるRNAの複製が行われているかは更なる検証が必要である。
(1)Capsid構成タンパクVP1の検出:RdRpはNV遺伝子の一部をsubgenomic RNA(sgRNA)として複製し、VP1はsgRNAから翻訳される。市販のポリクローナル抗体を用いてWestern blottingを行ったが、VP1は検出されなかった。
(2)抗RdRpポリクローナル抗体の作製: Infusion-cloning法により大腸菌発現ベクターpET-28aにRdRpをコードする配列(His×6末端)を導入した。RdRpタンパク発現及び抗体作出は株式会社バイオロジカに委託した。抗体が入手出来たらWestern blottingなどによりRdRpの検出を試みる。
(3)Real-time RT-PCRによるNV RNA検出:トランスフェクション後24~72時間の細胞からTotal RNAを抽出し、NV GIIを検出するReal-time RT-PCR(Primer:COG2F/COG2R、Probe:RING2AL-TP(「国立感染症研究所 病原体検出マニュアル ノロウイルス令和元年6月」))に供した。このとき、サンプルにはベクターDNAが残存しているため、逆転写酵素を含まない反応チューブを用意し、比較することでRNA量を推察した。結果として、24~48時間に採取したサンプルでノロウイルスRNAが検出された。ただし、導入したベクターからRNAが転写される過程は宿主細胞由来RNAポリメラーゼにより行われるため、RdRpによるRNAの複製が行われているかは更なる検証が必要である。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K18924
- 体系的課題番号 : JP20K18924