共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

酵母の呼吸代謝から発酵への転換におけるグルコース不活性化の総合理解

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H02894
体系的課題番号
JP20H02894
配分額
(総額)
17,420,000円
(直接経費)
13,400,000円
(間接経費)
4,020,000円

酵母Saccharomyces cerevisiaeでは、グルコースなどの発酵性炭素源があると、酸素が存在していてもエタノール発酵が優先的に起こり、呼吸代謝は抑制される。グルコースが枯渇すると、転写因子Cat8支配下にある糖新生関連遺伝子群の転写が一気に活性化される。しかし、環境中に再びグルコースが流入してくると、これら遺伝子群の転写が抑制されると共に、それらの翻訳産物が分解(グルコース不活性化)される例が報告されている。Cat8支配下で発現する遺伝子産物のグルコース不活性化を網羅的に観察したところ(ただし、既にグルコース不活性化を受けることが知られているFbp1、Mdh2、Icl1、Pck1は除いた)、グリセロール輸送体Stl1、酢酸輸送体Ady2、転写因子Sip4のグルコース依存的な分解が観察された。また、Cat8自身もグルコースに応答して分解されることが明らかとなった。Stl1は乳酸・ピルビン酸輸送体Jen1と同様にRsp5-Rod1ユビキチンリガーゼ複合体によってC末端領域に存在するリシン残基がユビキチン化され、エンドサイトーシスされることが明らかとなった。Cat8のグルコース不活性化はプロテアソーム阻害剤によって抑制されたことから、ユビキチンープロテアソーム系が関わっていることが示唆された。糖新生経路の鍵転写因子であるCat8タンパク質の量が、転写レベルに加え翻訳後レベルでも厳密に制御されていることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H02894
ID情報
  • 課題番号 : 20H02894
  • 体系的課題番号 : JP20H02894