重症急性膵炎発症早期における肝血流をperfusion CTで評価し、膵血流障害(膵虚血)および非閉塞性腸管膜虚血(NOMI)の影響を後方視的に検討した。対象は17症例(平均年齢52歳、男12名、女5名)で、死亡は3例であった。17例中12例が膵虚血陽性、9例がNOMI陽性と診断であった。膵虚血陽性例は陰性例に比べて肝動脈血流(HAF)は有意に上昇したが肝門脈血流(HPF)は有意差を認めなかった。NOMI陽性例では陰性例に比べてHAFに有意差を認めなかったが、HPFは有意に低下した。膵虚血とNOMIに有意な関係は認めなかった。以上より、膵虚血やNOMIによって血流ネットワーク不全が生じ、肝血流異常が生じる可能性が示唆されたが、このような連鎖的な臓器不全を診断するためには、perfusion CTは有用と考えられた。