2018年4月 - 2019年3月
動的政策評価における政策効果の異質性の検定と政策割り当てルールの統計的決定
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
本年度の研究では、パネルデータを用いた動的政策の割り当てルールの統計的決定方法を開発した。機械学習の識別の方法を基にして、実験・非実験データから観察される個人の性質に応じた動的政策の最適な割り当てルールを統計的に決定する方法を構築した。この方法を応用することで、個人の異なる性質に応じて、複数段階にわたる政策の最適な実行フローや複数期間にわたる政策の最適な停止・開始時期をテータに基づいて決定することができる。動的政策の割り当てルールの統計的決定では、(i)各時点における政策割り当てルールの決定に過去の政策割り当てやその結果の情報をどのように活かすという点、(ii)複数期間にわたる政策実行の予算をいかに効率よく各期の政策に配分するかとう点が重要となる。本研究では、前者に関しては、Kitagawa and Tetenov (2018)の提案したEmpirical Welfare Maximization (EWM)法を応用して、各期の政策割り当てルールの関数のクラスが過去の政策の割り当てや結果に依存する形とした。後者に関しては、予算制約を最適化問題の制約条件として組み込むことで、予算制約の下で社会的厚生を最大化する政策割り当てルールを推定する方法を提案した。問題設定や最適な政策割り当てルールの推定方法の考案の後、提案方法の理論的な性質の導出に取り組んだ。主要な結果として、推定された政策割り当てルールの真に最適な割り当てルールへの一致性を示した。また、推定されたルールのregretの上界を政策割り当て関数のクラスの複雑度や期間の数等との関係性から導出した。更に、予算政策の下での推定問題では、推定したルールを実行した場合に予算制約が漸近的に満たされることも示した。
- ID情報
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- 課題番号 : 18J00173
- 体系的課題番号 : JP18J00173
この研究課題の成果一覧
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講演・口頭発表等
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Workshop on Advances in Econometrics 2018年6月
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2018 Asian Meeting of the Econometric Society 2018年6月