2016年4月 - 2018年3月
パネルデータを用いた固定効果が存在する下での平均動学的処置効果の推定方法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
本年度の研究では、前年度に開発したパネルデータを用いて固定効果をコントロールしたうえで平均処置効果を識別・推定する方法(Sakaguchi,2017)を改良し、モンテカルロ実験による推定方法の性能評価を行った。識別・推定方法の改良では、前年度に考えていた計量経済学モデルよりも処置効果の異質性を柔軟に許容した一般的なモデルを想定し、そのモデルの下で平均処置効果を識別・推定できるように識別・推定のアプローチを改良した。モンテカルロ実験では、固定効果によって個人の処置効果に異質性が存在する場合、開発した推定方法が既存の推定方法よりも有限標本下で小さなバイアスをもつことを明らかにした。また、同実験の結果に基づいて、改良した推定方法を応用する際に必要となる固定効果と相関をもつ操作変数の選択方法を提案した。
本年度は、関連研究として内生的な打ち切りが存在する下で、duration analysisにおいて頻繁に使われるセミ・パラメトリックなtransformationモデルの回帰パラメータの部分識別・推測方法の開発も行った。Durationデータは、その性質上、頻繁に打ち切りを受ける。また、durationデータの打ち切りの多くは内生的であると考えられる。本研究では、内生的な打ち切りを許容した下で、セミ・セミパラメトリックなtransformation modelの回帰パラメータの部分識別集合を導出し、その推測方法を構築した。部分識別集合はHan(1987)のランク・アプローチに基づいて導出した。また、推測方法は、Andrews and Shi (2013)の条件付きモーメント不等式モデルの推測方法をモーメントがU統計量によって構成される場合に拡張することによって構築した。
これらの研究成果を、数々の学会や研究セミナーなどで発表し、前者の研究成果をまとめた論文を学術雑誌に投稿した。
本年度は、関連研究として内生的な打ち切りが存在する下で、duration analysisにおいて頻繁に使われるセミ・パラメトリックなtransformationモデルの回帰パラメータの部分識別・推測方法の開発も行った。Durationデータは、その性質上、頻繁に打ち切りを受ける。また、durationデータの打ち切りの多くは内生的であると考えられる。本研究では、内生的な打ち切りを許容した下で、セミ・セミパラメトリックなtransformation modelの回帰パラメータの部分識別集合を導出し、その推測方法を構築した。部分識別集合はHan(1987)のランク・アプローチに基づいて導出した。また、推測方法は、Andrews and Shi (2013)の条件付きモーメント不等式モデルの推測方法をモーメントがU統計量によって構成される場合に拡張することによって構築した。
これらの研究成果を、数々の学会や研究セミナーなどで発表し、前者の研究成果をまとめた論文を学術雑誌に投稿した。
- ID情報
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- 課題番号 : 16J01170
- 体系的課題番号 : JP16J01170
この研究課題の成果一覧
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