marginal fracture(MF)の治療は未だ難しい.著者らは橈骨遠位端骨折術後の掌側亜脱臼の危険因子に,volar lunate facet fragment(VLF骨片)の縦径が10mm以下等を報告した.今回著者らはVLF骨片を有する骨折に対する,Depuy Synthes社のVariable Angle Volar Rim plate(VA-VRP)の術後成績を報告する.平成27年以降当科で,VLF骨片の縦径が10mm以下のMFに対してVA-VRPを用い治療し,術後6ヵ月以上経過観察し得た20症例を対象とした.平均年齢54.2歳,男:女12:8例,右:左8:12手であった.骨折型は,Colles/Smith typeが17/3手で,AO分類はB3:C2:C3が1:4:15手であった.矯正損失,臨床評価と合併症について調査した.各種矯正損失は軽度であり,Mayo Wrist Scoreは平均85.5点であった.合併症は術後掌側亜脱臼,屈筋腱断裂は認めず,正中神経不全麻痺を3例に認め,うち1例に屈筋腱の癒着を認めた.合併症に配慮が必要だが,治療成績は良好でありVA-VRPはMF治療の一選択肢となり得ると思われた.(著者抄録)