2019年4月 - 2022年3月
補酵素PQQで惹起されるレドックスシグナルによる細胞外マトリックスリモデリング
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本年度の成果
1) PQQによる個体レベルでの傷修復の解析をC. elegansを用いて行った。表皮構造に異常を生じる突然変異体をPQQ存在下で飼育したところ、傷の大幅な回復が観察された。PQQに傷の修復促進活性があることがわかった。
2) 昨年度の研究で、PQQ誘導体の一つが、PQQと同等及びより強いdual oxidase 活性化能を持ち、細胞株・マウス個体への過剰投与の際の毒性を軽減することを示した。本年度は、種々の細胞株への投与、投与条件の詳細な検討を行い、普遍的に誘導体がPQQより過剰投与に伴う毒性を軽減させていることを示した。この誘導体の線虫寿命への影響を検証した。驚くべきことに、長寿になるという予想に反して投与後数日で全ての線虫個体に internal hatching を誘導し死滅させた。変異体を用いた解析から、誘導体は dual oxidase 非依存的にinternal hatching を線虫に誘導し死滅させると考えられた。また、マウスに誘導体を過剰投与しても異常がないことから、誘導体の効果は線虫に対して特異的であることがわかった。
3) 神経系で機能する補体分子C1qは神経シナプス機能に重要な役割をはたす(Matsuda et.al.,Neuron (2016))。今回、細胞外マトリックスのリモデリング解析の過程でC1qの局在化変化を解析し、マトリックスリモデリングの重要性を明らかにした(投稿準備中)。このC1q の解析を契機に別のファミリー分子Cbln1をもとにプレシナプスとポストシナプスを結合する人工タンパク質CPTXが作成された。このシナプスコネクターCPTXを利用することで様々な神経機能(脊髄損傷修復)において劇的な再生能を果たすことを明らかにした(Suzuki, Sasakura et al., Science, 2020)。
1) PQQによる個体レベルでの傷修復の解析をC. elegansを用いて行った。表皮構造に異常を生じる突然変異体をPQQ存在下で飼育したところ、傷の大幅な回復が観察された。PQQに傷の修復促進活性があることがわかった。
2) 昨年度の研究で、PQQ誘導体の一つが、PQQと同等及びより強いdual oxidase 活性化能を持ち、細胞株・マウス個体への過剰投与の際の毒性を軽減することを示した。本年度は、種々の細胞株への投与、投与条件の詳細な検討を行い、普遍的に誘導体がPQQより過剰投与に伴う毒性を軽減させていることを示した。この誘導体の線虫寿命への影響を検証した。驚くべきことに、長寿になるという予想に反して投与後数日で全ての線虫個体に internal hatching を誘導し死滅させた。変異体を用いた解析から、誘導体は dual oxidase 非依存的にinternal hatching を線虫に誘導し死滅させると考えられた。また、マウスに誘導体を過剰投与しても異常がないことから、誘導体の効果は線虫に対して特異的であることがわかった。
3) 神経系で機能する補体分子C1qは神経シナプス機能に重要な役割をはたす(Matsuda et.al.,Neuron (2016))。今回、細胞外マトリックスのリモデリング解析の過程でC1qの局在化変化を解析し、マトリックスリモデリングの重要性を明らかにした(投稿準備中)。このC1q の解析を契機に別のファミリー分子Cbln1をもとにプレシナプスとポストシナプスを結合する人工タンパク質CPTXが作成された。このシナプスコネクターCPTXを利用することで様々な神経機能(脊髄損傷修復)において劇的な再生能を果たすことを明らかにした(Suzuki, Sasakura et al., Science, 2020)。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K11728
- 体系的課題番号 : JP19K11728