MISC

2018年9月

【臨床医にもわかる分子精神医学講座】非コードRNAによる脳機能制御とその破綻による精神疾患

精神神経学雑誌
  • 内田 周作

120
9
開始ページ
796
終了ページ
803
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(公社)日本精神神経学会

気分障害の発症・病態機序はいまだ不明であるが,遺伝的要因に加えてストレスなどの環境要因がその発症を促すと想定されている.近年の脳画像研究や死後脳解析から,一部のうつ病患者脳における機能的変化ならびに神経細胞の形態的変化の存在が示唆され,うつ病の病態における神経可塑性異常が注目されている.神経可塑性には脳における適切な遺伝子発現が重要である.うつ病患者死後脳ではさまざまな遺伝子の発現異常が報告されていることから,うつ病患者では遺伝的要因と環境要因(ストレス)の相互作用によって,脳内遺伝子発現プログラムが変化することで神経可塑性異常を引き起こし,その結果うつ状態に陥る,といったうつ病における神経可塑性異常仮説が提唱されている.遺伝情報は「DNA→(転写)→mRNA→(翻訳)→蛋白質」の順に伝達される(セントラルドグマ).したがって,遺伝情報をmRNAに写し取る役割を担う転写調節因子の神経可塑性やストレス反応性に対する役割の解析が行われてきた.しかし最近,蛋白質をコードしていない非コードRNAの1種であるマイクロRNAが,標的mRNAの蛋白質への翻訳を制御することで神経細胞の構造的可塑性やシナプス可塑性さらには高次脳機能に対して重要な役割を担っていることが明らかとなり注目されている.本稿では,マイクロRNAによる遺伝子発現調節機構とうつ病との関連について,これまでの主要な研究成果を紹介したい.(著者抄録)

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ID情報
  • ISSN : 0033-2658
  • 医中誌Web ID : 2019016085

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