2020年4月 - 2023年3月
ドライバー遺伝子陽性肺癌が依存するパスウェイを標的とした次世代精密医療の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
研究の目的は、治療抵抗性・ドライバー遺伝子変異陽性肺がんが依存するパスウェイを狙い撃ちする次世代精密医療の基盤を築くことにある。具体的には、治療抵抗性症例において遺伝子発現レベルで活性化しているパスウェイを抽出し、ドライバー遺伝子変異の抑制とシナジー効果の高い標的パスウェイをドラッグリポジショニング解析などのin silico解析を駆使して評価することにより、治療抵抗性を示すドライバー遺伝子変異陽性の肺がん症例が依存するパスウェイを狙い撃ちする次世代精密医療を検討する。今年度はドライバー遺伝子変異としてMET遺伝子増幅を有するEBC1肺がん細胞株を用いて、MET阻害剤(クリゾチニブ)の耐性メカニズムを解明した。クリゾチニブ耐性株(CRS株)を取得し、網羅的な遺伝子発現プロファイル解析の結果、異なるドライバー遺伝子Xの発現亢進を確認した。このドライバー遺伝子Xに対する阻害剤を用いた併用療法により効果的な増殖抑制効果を認めた。また異なる方法で取得したクリゾチニブ耐性株(CRH株)では、遺伝子Yの発現亢進を確認した。遺伝子Yを標的としたshRNAによる遺伝子発現の抑制とクリゾチニブを併用したところ、より効果的な増殖抑制効果を認めた。これらの結果は、クリゾチニブ耐性獲得肺がんに対する効果的な併用療法の可能性を示している。
- ID情報
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- 課題番号 : 20H03771
- 体系的課題番号 : JP20H03771