Apr, 2019 - Mar, 2021
血小板機能温存を重視した新たな希釈式自己血輸血法の確立
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
- Grant number
- 19K18293
- Japan Grant Number (JGN)
- JP19K18293
- Grant amount
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- (Total)
- 4,290,000 Japanese Yen
- (Direct funding)
- 3,300,000 Japanese Yen
- (Indirect funding)
- 990,000 Japanese Yen
我々は血小板濃縮製剤の保存方法に基づいた、ポリオレフィン製バッグを用いた新しい全血保存法が、従来のポリ塩化ビニル製バッグを用いた方法よりも血小板凝集能の維持に有効であるかどうかを検討した。結果、ポリオレフィン製バッグ保存では、ポリ塩化ビニル製バッグに比べ、ADP誘発凝集率を2倍以上に維持し、血小板活性化マーカーであるP-セレクチンの発現も有意に抑制した。これらの結果は、ポリオレフィンの高いガス透過性により、攪拌の有無にかかわらず、PCO2が低下し、高いpHが維持されたことに起因すると考えられる。また、血小板数および赤血球数については、保存方法による有意な変化は認められなかった。以上の結果から、ポリオレフィン製バッグを用いた希釈式自己血輸血法は、従来法と比較して止血機能向上に有利であることが示唆された。
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また、我々は4℃で6時間の冷蔵保存をおこなった希釈式自己血輸血法では、22℃常温保存時にくらべて血小板機能を含む止血能にどのような変化を与え、止血能の向上に寄与できるのかin vitroにおいて検討をおこなった。結果、冷蔵保存では常温保存より高いADP誘発凝集能を維持でき、血液粘弾性検査においては、冷蔵群ではADP-MAは高く、ADP-inhibitionは低く維持され、冷蔵保存でADP刺激に対する血小板の反応性を高く維持できることが示された。さらに、保存による血小板劣化を示すマーカーであるplatelet factor 4とβ-thromboglobulinは、常温保存では著増したのに対して、冷蔵群で採血時と同等のレベルに抑えられた。以上から、希釈式自己血輸血法における6時間、4℃冷蔵保存では、血小板活性化による血小板機能劣化を抑えつつ、従来行われてきた常温保存時より高い血小板凝集能を維持でき、止血能向上につながる可能性があることが示唆された。
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また、我々は4℃で6時間の冷蔵保存をおこなった希釈式自己血輸血法では、22℃常温保存時にくらべて血小板機能を含む止血能にどのような変化を与え、止血能の向上に寄与できるのかin vitroにおいて検討をおこなった。結果、冷蔵保存では常温保存より高いADP誘発凝集能を維持でき、血液粘弾性検査においては、冷蔵群ではADP-MAは高く、ADP-inhibitionは低く維持され、冷蔵保存でADP刺激に対する血小板の反応性を高く維持できることが示された。さらに、保存による血小板劣化を示すマーカーであるplatelet factor 4とβ-thromboglobulinは、常温保存では著増したのに対して、冷蔵群で採血時と同等のレベルに抑えられた。以上から、希釈式自己血輸血法における6時間、4℃冷蔵保存では、血小板活性化による血小板機能劣化を抑えつつ、従来行われてきた常温保存時より高い血小板凝集能を維持でき、止血能向上につながる可能性があることが示唆された。
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- ID information
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- Grant number : 19K18293
- Japan Grant Number (JGN) : JP19K18293