共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2022年3月

食道癌における腫瘍随伴マクロファージに着目した免疫放射線療法の新規作用機序の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
20K17695
体系的課題番号
JP20K17695
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

これまでに放射線照射が腫瘍微小環境に豊富に存在する腫瘍随伴マクロファージ(Tumor-associated macrophage, TAM)に及ぼす影響はあまり明らかにされていないため、本研究では、放射線照射前後(生検標本と手術摘出標本の比較)の食道扁平上皮癌(ESCC)切片を用いてTAMのマーカーであるCD163の免疫組織化学染色を行い、放射線照射が腫瘍微小環境に存在するマクロファージに及ぼす影響について検討を行った。対照群である術前放射線療法を行っていないESCC患者では、生検標本と手術摘出標本の間でCD163発現レベルに関する有意な差は見られなかった。一方、術前放射線療法を行ったESCC患者切片では、照射前と比較しCD163の発現レベルが有意に増加することが明らかとなった。そこで放射線照射が直接的にTAMに及ぼす影響を明らかにするため、in vitroにおけるTAM様の樹立を試みた。健常人末梢血PBMCからMACSビーズによりCD14+単球を採取し、M-CSFの存在下で4日間培養後、IL-4, IL-10, IL-13の存在下でさらに2日間培養することで、TAM様細胞を樹立した。樹立したTAM様細胞に放射線照射を行い、TAMマーカーであるCD163、免疫チェックポイント関連分子であるPD-L1, PD-L2の発現レベルを解析した。放射線照射により、TAM様細胞のCD163, PD-L1, PD-L2の発現レベルの有意な増加が観察された。したがって、放射線照射によりTAMのフェノタイプがM2にシフトし、PD-L1などの免疫チェックポイント関連分子の発現が増加する可能性が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K17695
ID情報
  • 課題番号 : 20K17695
  • 体系的課題番号 : JP20K17695