共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

多義語に対するプロトタイプ義の量的分析-クラウドソーシングによる大規模調査-

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
19K00591
体系的課題番号
JP19K00591
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

本研究は現代日本語形容詞の多義語を対象に,心理実験的手法を通してプロトタイプ的意味を認定し,多義モデルを構築することを目的としている。本研究の新規性は,双方向評定によるプロトタイプ的意味認定の手法の確立にある。プロトタイプ的意味と派生的意味は,基本義と拡張義ともいわれるように,その方向性とともに論証されている。語義間の類似性が認められやすい方向に着目し,心理実験の結果からプロトタイプ的意味及び派生関係を解明する。調査手順としては,先行研究の代表義リストと意味情報付与コーパスを統合的に活用しながらクラウドソーシングで双方向評定を調べる。多義語の記述を再現可能な調査をもとに行うことを目指す。
本年度は昨年度に引き続き,均衡コーパスの用例間における双方向類似度をクラウドソーシングにより大規模調査し,結果を生データ・集計データ・デンドログラムとして公開した。また多義語の実態を明らかにする手法として類似度が活用可能な範囲を,言語学的なテストと比較して検討を進めている。本年度は下の研究実施計画のうち,主に(iii)に取り組んできた。
(i) 2019年度:調査の設計・調査データの作成・基礎データの公開
(ii) 2020年度:クラウドソーシングの調査・調査結果を順次公開
(iii) 2021年度:双方向類似度データの分析
類似度を基準とした複数の語義に対する派生関係の検討では,言語学的なテストと比較して,抽象的な語義に区分が設けられる傾向がある。一方でプロトタイプ的意味の認定には本調査の結果が量的データとして役立てられる。本年度は語義間の関係を中心に調査を行い,分析を進めてきた。他方,項構造や構文といった文法との関係をモデル構築に取り入れることで,本研究の目的がより精緻に達成できる。このことからさらにデータを拡充しつつ,次年度も分析を続ける。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K00591
ID情報
  • 課題番号 : 19K00591
  • 体系的課題番号 : JP19K00591