共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2024年3月

身体拡張を手掛かりとした自己意識の脳内機構解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
19H01126
体系的課題番号
JP19H01126
配分額
(総額)
45,110,000円
(直接経費)
34,700,000円
(間接経費)
10,410,000円

本研究では、BMI技術等によって拡張された身体を手掛かりとすることで自己意識の脳内情報処理を解析し、これにより自己の認識のための基礎となる脳内機構を明らかとすることを目的とする。
本年度は、ヒトを対象とした実験においては、生体信号で制御可能なインテリジェント運動補助装置により環境との働きかけを変更させながら、その影響を調査した。肘関節の動作と同期して動く筋電制御ロボットアームを用いたラバーハンド錯覚課題により、運動主体感・身体所有感と運動の関係に関して統計的な結果を得るため、健常者の被験者を対象とした実験を進めた。また、開発したロボットアーム実験系とラバーハンド錯覚課題を用い、神経性やせ症患者に生じる身体認識の変化に関する実験を進めるなど、患者・障害者を対象とした研究を展開させた。
動物実験においては、マウスの運動主体感の評価に向けて昨年度開発した、身体ではない外部機器を操作した時に操作と外部機器の応答に食い違いが設定した頻度で生じ、その食い違いを識別させるという課題を行う際の神経細胞活動を計測した。計測データからマウスの選択を機械学習によって予測させたところ、高い精度で予測が実現され、その成果を学会発表した。さらに、このような運動と感覚を処理する際の神経細胞活動の特性を説明するために、皮質の層構造に着目した数理モデルを構築してシミュレーションを行った。また、これまでに行ってきたマウスの身体所有感を評価するためのラバーテイル錯覚課題についても、その脳内機構を評価するための研究を継続した。
松崎研究室では、皮質内ネットワークの時空間的な神経活動情報を明らかとするために、2光子イメージング法を用いた研究を行った。レバーの動く条件を変えると、皮質内での活動が変わる細胞と変わらない細胞があること、また皮質の層によってその感受性が変わることを見出した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H01126
ID情報
  • 課題番号 : 19H01126
  • 体系的課題番号 : JP19H01126