共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

小脳における直立姿勢制御系の学習と機能回復の設計原理

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H01393
体系的課題番号
JP18H01393
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

小脳における障害は姿勢維持機能の低下を生じることから、小脳における姿勢維持機能の低下と回復のメカニズムを明らかにすることが、効果的なリハビリテーションへとつながる。斜面におけるヒトの直立動作の応答から、ヒトが床状態に応じて予測的、学習的に姿勢を変化することが示唆されており、小脳が姿勢におけるこの予測及び学習に貢献していると考えられる。そこで本研究では、小脳障害動物とヒトの実験、及び力学モデルを基に、姿勢制御に関わる予測と学習制御メカニズムの解明を目指して研究を行ってきた。本年度は(1)ヒトの傾斜床実験系の構築と姿勢動作の計測、(2)ラットの運動計測と評価、(3)予測を有する姿勢制御モデルの構築を行い、以下の研究結果を得た。
(1)台の上にヒトを載せてゆっくりと床を前後に傾斜させる実験装置を製作し、傾斜後の姿勢の応答を調べた。その結果、斜床上でしばらくの間直立した後に床面が水平に戻ると、ヒトの身体は傾斜面上と同じ足首角度を維持するように傾き、60秒程度の時間をかけて垂直に戻っていった。この時の動作を解析したところ、姿勢の動作は足首を中心とした動作と体幹を中心とした動作によって構成され、そのうち体幹を中心とした動作が、ゆっくりとした応答を生成していることがわかった。(2)ラットに対して、レバーを押して一定時間後に床が傾斜する実験装置を製作し、外乱の予測ができる状況での姿勢実験を行った。また、ラットの小脳中部を吸引除去する手術を行い、同様の実験を行った。トレーニングによって、ラットは傾斜直前に傾斜と逆方向へと動く予期的姿勢調節を示した。計測された予測的姿勢動作の原理を解明するため、ラットの身体力学モデルとモデル予測制御による制御系からなるシステムモデルを構築し、力学シミュレーションを行った。その結果、このシステムモデルがラットと同様の予測的動作を生じることを明らかにした。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H01393
ID情報
  • 課題番号 : 18H01393
  • 体系的課題番号 : JP18H01393