共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2021年3月

弾性タンパク質を模倣したペプチドエラストマーの化学酵素合成と機能評価

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
19K15644
体系的課題番号
JP19K15644
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

エラスチンやレジリンに代表される弾性タンパク質は、合成ゴムと同程度の弾性率を示しながらもそれを凌ぐ高い復元力を示す。本申請研究では化学酵素反応を利活用することで、弾性タンパク質中に頻出する鍵アミノ酸配列を模倣したポリペプチドを合成する。今年度は先述の鍵アミノ酸配列とし、グリシン-プロリン-グリシンのトリペプチド骨格を採用し、これとチロシンとの酵素共重合を検討した。プロテアーゼの一種であるパパインを触媒に用い、トリペプチドとチロシンのエチルエステル誘導体を、仕込み比を変えながら、リン酸緩衝溶液中、40℃の条件で反応させたところ、対応するポリペプチドが析出物として得られた。NMR、MALDI-TOF MS分析の結果、得られたポリペプチドは概ね仕込み比と一致した組成比からなる共重合体であることが分かった。次いで、得られたポリペプチドを蚕由来シルクの化学ゲル合成の架橋剤に応用し、ゲル化速度、力学特性を引張試験、動的粘弾性試験により評価した。その結果、(i) 架橋剤中のチロシン残基の割合が増加するに従いゲル化速度が速くなる、(ii) トリペプチド構造の割合が増加するに従いレジリエンスが向上することが明らかとなった。このことから、架橋剤中のアミノ酸配列を適切にチューニングすることで、得られるシルクゲルの異なるパラメータを同時に調節可能であることがわかった。加えて、得られたシルクゲルはポリペプチド架橋剤を添加した場合も、添加前とほぼ同程度の細胞毒性を示すことが分かった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K15644
ID情報
  • 課題番号 : 19K15644
  • 体系的課題番号 : JP19K15644