共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年10月 - 2022年3月

高性能オレフィン重合・二量化分子触媒の活性種・中間体の革新的構造解析新手法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))  国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))

課題番号
19KK0139
体系的課題番号
JP19KK0139
配分額
(総額)
18,330,000円
(直接経費)
14,100,000円
(間接経費)
4,230,000円

本国際共同研究は、オレフィンの精密重合や選択的二・三量化の高性能分子触媒の活性種解析で、専門分野の異なる若手の研究分担者や海外第一線の物理学者と連携し、欧州放射光施設での触媒溶液のX線吸収分光測定や海外の共同研究者が開発したスペクトルの解析プログラムを通じて、溶液中の触媒活性種の電子状態・構造の解明を目的としている。
2020年度はコロナ禍の影響で欧州への出張は不可能となったが、国内放射光施設(SPring-8)での測定を重ねて、必要なスペクトルデータを取得した。昨年度に研究分担者とCamerino大学のDi Cicco教授との間で(現地滞在時に)策定した研究指針に従い、山添、畑田、吉川及び野村は、同教授のグループと共同で逆モンテカルロシミュレーション(RMC)を駆使して,XANESスペクトルからV錯体の構造の推定研究に着手している。現在は,構造既知のV錯体を利用してその構造をRMCで推定可能かどうか検証を行っている。
野村と山添、中谷は、配位不飽和4配位型のニオブ錯体の溶液中でのXANESスペクトルにおけるPreEdgeピークを理論計算(TD-DFT)により帰属した。特に理論計算によるスペクトルと実スペクトルとの良い相関がみられ、ピーク位置やその強度が配位子や構造の影響を受けることを明らかにした。また、2019年度に報告したチタン錯体触媒によるスチレンの立体特異性重合とエチレンとの共重合における活性種・反応機構の違いを理論計算により検証した。
山添、中谷、畑田らは、ホスフィン保護Au9クラスター及びチオラート保護Au25クラスターのAu原子および保護配位子のXANES領域のスペクトルシミュレーションに取り組み、理論計算から、Auクラスターの実際のXANESスペクトルを比較的よく再現した。この種の金クラスターの電子状態変化は、配位原子に支配されたAu5d軌道のエネルギーシフトで、酸化状態を変えずに吸収エネルギーを変調させることが明らかになった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19KK0139
ID情報
  • 課題番号 : 19KK0139
  • 体系的課題番号 : JP19KK0139