MISC

2013年

環境条件に応じた葉寿命の種内変異 : 一般的傾向と機能型間の差異(<特集1>なぜいま葉寿命なのか?)

日本生態学会誌
  • 長田 典之
  • ,
  • 及川 真平
  • ,
  • 宮田 理恵
  • ,
  • 神山 千穂
  • ,
  • 永野 聡一郎
  • ,
  • 塩寺 さとみ
  • ,
  • 田畑 あずさ
  • ,
  • 小野 清美

63
1
開始ページ
19
終了ページ
36
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.18960/seitai.63.1_19
出版者・発行元
日本生態学会暫定事務局

植物の種によって葉寿命が多様であることは古くから注目されてきた。近年では、種の機能型によって葉寿命が異なることや、葉寿命は様々な葉の形質と強い関連性を持つことが明らかにされている。これらの多くの研究では種間差に着目し、1種につき1つの葉寿命の値を比較している。しかし、一般に葉寿命には種内変異があり、光環境や土壌の栄養塩可給性などの環境条件によって葉寿命は変化する。もし種内変異の方向や大きさが種によって異なっていれば、種間比較で見られた傾向は環境条件に応じて変化するかもしれない。種内変異の方向や大きさは、その種の生存・成長戦略と捉えることができ、生育環境の多様性と関連する可能性がある。このため、植物の環境応答の種内変異について、様々な種を通して見られる一般的な傾向やその種間差を整理することは重要である。本論文では文献調査により、環境条件に応じた葉寿命の種内変異の一般的な傾向およびその機能型間の違いの比較を行った。環境要因として、光、土壌栄養塩、土壌乾燥、大気CO2濃度、標高・緯度を対象とした。その結果、葉寿命の種内変異のパターンは環境条件によって多様であり、葉寿命の種内変異の傾向が非常に明瞭なもの(光環境に応じた変異)から不明瞭なもの(土壌乾燥や大気CO2濃度に応じた変異)まで存在していた。また、機能型によって応答の大きさ(光、土壌乾燥)や方向(標高・緯度)に違いがみられることが明らかになった。このような種内変異のパターンや機能型による違いを整理することは、様々な植物種の環境応答を予測するうえで役立つであろう。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.18960/seitai.63.1_19
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/110009604252
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00193852
ID情報
  • DOI : 10.18960/seitai.63.1_19
  • ISSN : 0021-5007
  • CiNii Articles ID : 110009604252
  • CiNii Books ID : AN00193852

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