論文

査読有り
2018年5月

酸素飽和高温高純度水中におけるSUS316Lステンレス鋼すき間内の局部腐食

材料と環境
  • 相馬 康孝
  • ,
  • 上野 文義

67
5
開始ページ
222
終了ページ
228
記述言語
日本語
掲載種別

溶存酸素濃度約32ppm、温度288$^{\circ}$Cの高純度水中に100h浸漬したSUS316Lステンレス鋼のすき間内における局部腐食現象を詳細に分析した。テーパーのついたすき間内において、すき間先端部側(すき間幅十数$\mu$m以下)の領域において、粒界、および介在物を起点とした局部腐食が発生した。前者は、粒界に沿って発生し、粒内にも腐食が進行した。粒内では腐食がまだら状に進行し、腐食生成物であるFeCr$_{2}$O$_{4}$に相当する組成の酸化物と残存金属相が混在する組織を示した。後者は、CaとSを含む介在物を中心として円形に発生し、腐食生成物としてFeCr$_{2}$O$_{4}$に相当する組成の酸化物が生成した。これらの局部腐食現象はすき間先端側の酸素枯渇域に集中して発生し、より開口側に近い酸素到達域では発生しなかった。局部腐食発生域と非発生域の分布から、すき間内におけるアノードとカソードの分離が示唆された。

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