2008年
サンゴ骨格の微細構造観察
日本鉱物科学会年会講演要旨集
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造礁性サンゴはアラゴナイトによってその骨格を形成し、その骨格に含まれる酸素同位体比、あるいは微量元素量が古環境復元に利用されている。例えば、アラゴナイト中のSr/Ca比の変動は、骨格形成時の海水温度と相関を持つとされ、過去の海水温度復元に用いられている。これは、骨格に含まれているSr(Porites sp.であれば約7000ppm)が全てアラゴナイトに固溶し、固溶割合の変動が鉱物生成時の温度の違いに起因するものであると考えられているからである。しかし、近年になりサンゴ骨格中にアラゴナイト以外の鉱物相の存在が示唆された。例えば、Greegor et al.(1997)はXANES、EXAFSを用いた実験で、Srの60%程度はアラゴナイト中に固溶しているが、残りの40%はアラゴナイト構造を持つSrCO3端成分として存在していると報告した。この報告が信頼できるとすると、Sr/Ca比を海水温度計として使うには注意が必要となる。一方Finch et al(2003a, 2003)は放射光を使ったmicro-EXAFSを用いての観察の結果、Srは全てアラゴナイト固溶体として存在するとGreegorとは異なった報告している。しかしながらいずれの報告もSrの配位環境やSr-O結合距離からの考察であり、これまで直接的な鉱物同定は行われていない。
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