共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

認知機能低下を防止する次世代運動戦略の橋渡し研究:海馬の可塑性を高める神経機構

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
18H04081
体系的課題番号
JP18H04081
配分額
(総額)
44,720,000円
(直接経費)
34,400,000円
(間接経費)
10,320,000円

本研究課題では、 海馬機能を高める運動とアスタキサンチン(ASX)の併用を「次世代運動戦略」として開発し、種々の臨床現場への応用促進を目指す。3年計画の初年度である平成30年度は、実験計画に従いプロジェクト1~3を実施した。
プロジェクト1では、独自に明らかにしてきた認知機能を高める運動条件 (超低強度運動 あるいは低強度運動 (LET)) の神経機構解明を目指して実験を行った。運動効果の起点としてDA作動性神経系が関与するかを明らかにするため、一過性の運動がDA作動性神経系の活動に及ぼす効果を検討したところ、DA作動性神経系の起始を有するVTA、LCにおいてc-Fos発現が増加する傾向が示唆された(実験1-1)。
プロジェクト2では、運動が健常高齢者の海馬に与える影響に関して、一過性(実験2-1)、及び慢性(実験2-2)の効果を検証する。平成30年度は、別経費で行った実験のMRIデータに関して詳細な解析を行い、10分間のLETが即時的に海馬の記憶機能を向上させること、この神経基盤として海馬歯状回と周辺皮質との機能的な連携が強化されることを健常若齢成人を対象に明らかにした。この成果は、米国科学アカデミー紀要に刊行された(Suwabe et al., PNAS, 2018)。実験2-2として、健常高齢者を対象に長期間の運動介入実験を行い、計画通り、60名以上の研究対象者に各種MRI測定、認知機能検査、有酸素能力などの各種体力測定を行い、データ収集を完了した。
プロジェクト3では、病態モデル動物の導入と運動条件の設定を行った(実験3-1)。アルツハイマー病モデル動物であるApp NL-G-Fマウスの繁殖に成功し、運動条件設定のため換気生作業閾値(VT)の検討を行った。その結果、VT出現時の走速度は野生タイプとの間に差は認められず、同等の体力レベルを有することが明らかとなった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H04081
ID情報
  • 課題番号 : 18H04081
  • 体系的課題番号 : JP18H04081