Profile Information

Affiliation
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筑波大学 生命環境科学研究科 教授
Degree
博士(農学)

J-GLOBAL ID
201501003258182192

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1956年福岡県生まれ。1981年京都大学農学部卒。

1984年より農林水産省北海道農業試験場にてテンサイの育種研究に従事し、育種学会賞を共同受賞した。1988年よりダイズ研究に転じ、ストレス耐性(耐冷性、耐湿性、難裂皮性)、フラボノイド、トランスポゾンに関する遺伝・分子生物学研究に従事している。1993年にダイズの耐冷性の遺伝研究によって北海道大学で博士号を取得。1995年より1年間アメリカ合衆国デューク大学メディカルセンターのMcDonnell博士のもとでポスドクとしてヒト卵胞ホルモン受容体遺伝子の分子生物学研究に従事した。2005年より筑波大学生命環境科学研究科(連係大学院)の教授を務め、これまでに7人の学生(うち6人が外国人留学生)に博士号を取得させた。

これまでの研究と今後の計画は以下のとおりである。
(1)耐冷性
北海道では4年に一度冷害に遭遇し、ダイズの収量が低下するだけでなく、種子が褐変するとともに裂皮が発生し、品質が著しく低下する。臍色が黄色の白目品種は外観品質がすぐれているために需要が高いが、低温による収量と品質の低下が、臍色が褐色の褐目品種に比べて甚だしい。そこで、準同質遺伝子系統を耐冷性検定することにより、毛茸色遺伝子T(フラボノイド3'-水酸化酵素遺伝子)が低温条件下での収量および根粒の窒素固定能力を高める作用を持ち、褐目品種の耐冷性の原因遺伝子であることを明らかにした。さらに、遺伝子Tの単離にも成功した。種子の品質に関しては、遺伝子Tだけでなく種皮色遺伝子Iが耐冷性に関与していることを明らかにした。さらに、早晩性遺伝子E1~E7に関する準同質遺伝子系統群を耐冷性検定することにより、早晩性遺伝子を適切に組み合わせることによって低温条件下での収量および品質を向上できることを明らかにした。これら一連の研究によって、ダイズの耐冷性の遺伝的基盤の一端を明らかにした。

(2)耐湿性
日本で栽培されるダイズの85%は水田転換畑で栽培されるが、ダイズ品種は耐湿性が不十分なため、過湿条件下では収量が低下する。そこで、九州大学と共同で、耐湿性の高い(生育初期の低酸素ストレス条件下で根の生育量がすぐれた)在来種「伊豫大豆」と耐湿性の低い関東地方の基幹品種「タチナガハ」の交雑後代を供試し、耐湿性QTLを見いだした。さらに、このQTLを「タチナガハ」に導入した準同質遺伝子系統を育成した。この系統は、現在長野県野菜花き試験場で耐湿性品種の育成に利用されている。

(3)難裂皮性
低温のみならず、乾燥、高温等の環境ストレスによって大豆の種子に裂皮(種皮の亀裂)が発生し、外観品質が悪化して商品価値が低下する。特に、納豆、煮豆等、種子の形で流通する商品においては裂皮の発生は致命的であるため、実需者から難裂皮性品種の育成が強く求められている。そこで、摘莢処理によって裂皮の発生を促すことによって難裂皮性のQTL解析を行い、難裂皮性を支配するQTLを第2染色体上に見いだした。また、在来種の中には環境ストレスによらない遺伝的な裂皮(網目状裂皮)を示すものがあり、難裂皮性QTLを第4染色体上に見いだした。低温による裂皮に対する抵抗性には、早晩性遺伝子E1近傍の第6染色体上のQTLが関与していた。以上のように、3種類の裂皮は異なる遺伝子に支配されている。そこで、それら3集団に関する残余ヘテロ接合体を供試し、ファインマッピングとポジショナルクローニングを行う予定である。これら一連の研究により、ダイズの種皮形成のプロセスと環境ストレス反応の生理的メカニズムの解明に結びつくことが期待される。

(4)フラボノイド
フラボノイドは主要な植物色素であり、花弁、種皮、毛茸の色を支配するだけでなく、耐冷性や根粒着生にも関わっている。国立科学博物館と共同で、花弁、毛茸、葉に含まれるフラボノイドの構造を明らかにした。また、花色遺伝子(W1、W4)、毛茸色遺伝子(T)、種皮色遺伝子(R)およびそれらの様々なアリルに対応する遺伝子のみならず、花弁のpHを制御して花を青くする遺伝子(W2)、コピグメント作用を制御して花を赤くする遺伝子(Wm)を単離した。現在、国立科学博物館および理化学研究所と共同で、葉の主要成分フラボノールに結合した糖にさらに糖を結合する遺伝子(Fg1~Fg4)の網羅的単離と機能解明を行っている。これら一連の研究により、ダイズのフラボノイド合成の遺伝様式の全体像を明らかにすることをめざしている。さらに、フラボノイド合成遺伝子に関する準同質遺伝子系統を育成し、フラボノイドと光合成能力等の農業形質との関わりを調べる予定である。

(5)トランスポゾン
トランスポゾンはゲノム上を転移する遺伝因子で、1940年代にMcClintockがトウモロコシで見いだした。トランスポゾンが遺伝子の内部に挿入すると遺伝子の機能が失われる。トランスポゾンが単離されて塩基配列が明らかになると、それをプローブにして表現型に基づいた遺伝子単離(トランスポゾンタギング)が可能となる。ロシアから導入されたダイズ野生種(ツルマメ)の花色斑入り変異体の花色遺伝子W1より、アクティブな新規トランスポゾン(Tgs1)を単離した。Tgs1は、ツルマメから初めて見いだされたトランスポゾンである。Tgs1は全長が3.8 kbと比較的短く、ダイズゲノム中でも高い頻度でゲノム上の別の場所に転移する。そこで、つる性を有するために大規模栽培が困難な斑入りツルマメにダイズ品種を戻し交配し、つる性を除くとともにダイズ並みの粒大と黄色の種皮を持った約6000系統のタグラインを育成した。今後は、タグラインを圃場に展開して草型や早晩性などの突然変異体を見いだし、表現型を支配する遺伝子を単離する予定である。

Research Interests

  4

Education

  1

Papers

  56

Professional Memberships

  2

Research Projects

  9