共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2021年3月

共生微生物による配偶子インテグリティの構築とその制御

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
19H05248
体系的課題番号
JP19H05248
配分額
(総額)
9,100,000円
(直接経費)
7,000,000円
(間接経費)
2,100,000円

私たちは昆虫アブラムシの生殖細胞の形成に共生細菌が必須であることを発見した。アブラムシはブフネラと呼ばれる細胞内共生細菌と絶対共生の関係にあるが、共生細菌を除去すると、宿主昆虫の始原生殖細胞は消滅する。本研究の第一の目的は、共生細菌による宿主生殖細胞のインテグリティの構築とその制御機構を解明することである。特にアミノ酸やシグナル伝達パスウェイに着目し、候補分子や阻害剤の投与によってその宿主PGCへの影響を調べる。今年度は、新しく着任したポスドクによって、候補分子や阻害剤を直接体内に顕微注入する実験手法を開発することに成功した。この技術を利用して、多様な組成の人工培地を注入し、生殖細胞形成の影響を観察した。シグナル伝達の中ではinsulinパスウェイに着目して解析している。さらに、生殖細胞の細胞分裂をEdUで検出する系も確立することができた。第二の目的は、生殖細胞のインテグリティとは何か、その分子実態の理解を目指すことである。この小課題ではインテグリティレベルの異なるPGCのトランスクリプトームを比較することにより、インテグリティの実態を分子レベルで明らかにすることを目標としているが、現時点でアブラムシの生殖細胞のみを単離する技術は存在しない。そこで、何らかの方法で生殖細胞をエンリッチさせたサンプルのシングルセルRNA-seqを行い、得られたデータからマーカー遺伝子の発現から事後的に生殖細胞を同定するという戦略をとる。しかし、シングルセルRNA-seqはサンプル調製の難易度が高い挑戦的な実験である。今年度は、アブラムシ全身を使って、細胞解離、セルソーターによる細胞単離、シングルセルRNAseqライブラリ構築の一連のプロトコルをほぼ確立することができた。今後、開発した手法でデータ収集を継続し、得られたデータに基づき、配偶子インテグリティを異種間相互作用の視点から考察する。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-19H05248
ID情報
  • 課題番号 : 19H05248
  • 体系的課題番号 : JP19H05248