共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2021年3月

共生系の遺伝子ネットワークの制御機構とその進化

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17H03717
体系的課題番号
JP17H03717
配分額
(総額)
17,420,000円
(直接経費)
13,400,000円
(間接経費)
4,020,000円

共生系において宿主と共生者がどのように統合的な遺伝子ネットワークを構築するかはほとんど分かっていない。本研究では、昆虫アブラムシと細菌ブフネラの共生系をモデルに、共生系の遺伝子ネットワークの制御機構と進化過程を解明することが目標である。そのために以下の4つのサブ課題を設定して研究を進めた。今年度の特筆すべき成果は2つ。第一に、BCRペプチドの抗菌活性に関する論文を発表したこと。第二に、アブラムシでCRISPR/Cas9によるゲノム編集に成功したことである。
(研究1) 転写因子Dllの遺伝子ネットワークの解明:前年度ATAC-seqのパイロット実験に成功していたが、今年度はプロトコルを改良した。成虫虫体のATAC-seqデータを解析した結果、多くの遺伝子の転写開始点付近に明瞭なピークが認められ、解析手法の妥当性が確認された一方、共生細菌のゲノムが相当数読まれてしまう問題点も明らかになった。
(研究2)新規シグナルペプチドBCRの機能の解明:代表者の技術開発によりゲノム編集が可能になり、この技術を利用してBCRのノックアウト変異体の作成を進めた。インジェクション世代での高効率のゲノム編集が確認された。
(研究3)宿主・共生細菌の遺伝子発現動態解析:有性世代の胚発生時期のRNA-seqを進めた。初期胚のサンプルの準備ができた。また、胚一つからの微量RNA-seqのライブラリ作成法の検討を行った。
(研究4) 比較ゲノム解析によるnon-coding領域の共生因子の同定と機能解析:前年度までにエンドウヒゲナガアブラムシApL系統ゲノム配列を決定していたが、今年度は染色体レベルのアセンブルを目指しHiCによるアセンブルを進めた。また、新たに発表された複数種のアブラムシゲノムを公的データベースから取得し比較ゲノム解析の対象に追加するとともに、いくつかの社会性アブラムシのゲノム解読を進めた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H03717
ID情報
  • 課題番号 : 17H03717
  • 体系的課題番号 : JP17H03717