共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年6月 - 2022年3月

徒弟的左官技能継承からの脱却:熟達者の暗黙知に基づくクリーンな科学的継承法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
19K22012
体系的課題番号
JP19K22012
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
6,370,000円
(直接経費)
4,900,000円
(間接経費)
1,470,000円

左官工における一連の技能を獲得するには7~10年を要すると言われており、若手入職者が定着しない要因の一つである。一連の技能を獲得するまでに長い年月が必要な主たる要因は、技能獲得プロセスが徒弟的であり「見て覚える」ことにある。左官技能のような複雑な運動の集合に対し、初めから動作全体を模倣し、技能を獲得していくことは極めて難しい。そこで本研究では、データマイニング手法である自己組織化マップ(SOM)を用いて熟達左官技能者に共通する暗黙知を可視化し、スポーツ科学の運動技能獲得過程を取り入れた科学的トレーニング方法の創生に挑戦する。
2019年度は主に熟達者1名および初学者2名を対象に左官コテの動作測定を実施し、以下の知見が得られた。(1)熟達者が壁面を塗り付ける手順は壁面の縁から塗り始め,中央を塗り,最後に壁面全体を均すという手順であった。(2)熟達者は,初学者に比べて塗り付け時および仕上げ時の押し付け回数が少なかった。また、壁面を押し付ける回数は、熟達者は塗り付け工程と仕上げ工程でほぼ同程度であったが、初学者は塗り付け工程が仕上げの工程に比べて回数が多かった。(3)熟達者は初学者に比べてコテの移動距離が長い。(4)塗付け工程におけるコテの移動速度は、初学者と熟達者の間に明確な差異は認められなかったが,仕上げ工程においては、熟達者は初学者と比較し、コテの移動速度が速かった。(5)塗付け工程および仕上げ工程ともに、初学者はコテの先端が下がっていることに対し,熟達者はコテの先端が上がっていることが分かった。また、ピッチ角は、初学者は塗りつけ工程の方が仕上げ工程よりも角度が小さかったことに対し、熟達者は仕上げ工程の方が塗りつけ工程よりも角度が小さくなっていた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K22012
ID情報
  • 課題番号 : 19K22012
  • 体系的課題番号 : JP19K22012