2006年3月
裾の厚い分布をもつ長期記憶過程
日本統計学会誌
- ,
- 巻
- 35
- 号
- 2
- 開始ページ
- 213
- 終了ページ
- 232
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- 出版者・発行元
- 日本統計学会
本論文では裾の厚い分布をもつ長期記憶過程について,モデル及びその推定方法に関するサーベイを与える.このような特徴をもつモデルは,ネットワーク・トラフィックやファイナンス等の分野において,近年関心を集めている.本論文では,まず,長期記憶性をもつ正規過程であるfractional Gaussian noiseモデルとGaussian FARIMAモデルについて説明し,その後,これらのモデルを周辺分布が安定分布に従うように拡張したlinear fractional stable noiseモデルとstable FARIMAモデルの性質について考察する.安定分布は中心極限定理の一般化であり,独立同一分布に従う確率変数列の正規化された部分和の極限分布として与えられるが,分散の存在は必要とされない.従って,裾の厚い分布をもつ現象を表現するための確率過程として頻繁に用いられている.周辺分布が安定分布に従うモデルを考えることで,長期記憶性とともに,正規過程では表現できなかった分布の裾の厚さという特徴を分析することが可能となる.
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0389-5602
- CiNii Articles ID : 110004717828
- CiNii Books ID : AA11989749