Presentations

Mar 28, 2015

東日本大震災におけるアソシエーションの支援実態と被災地域

日本地理学会2015年春季学術大会
  • 菅野拓

Language
Japanese
Presentation type
Oral presentation (general)

阪神・淡路大震災が起こった1995年を「ボランティア元年」と呼ぶことがあるが、その影響下で成立した特定非営利活動促進法(NPO法、1998年)および公益法人制度改革(関連3法の成立は2006年)により、日本の市民セクターにおいて、非営利の法人格が容易に取得可能な状況が生まれた。その結果、NPO法人などの「アソシエーション(結社)」が多数育まれ、市民セクターの主たる担い手の表現が「ボランティア」から「NPO」へと変化するほど一般的な存在となっていた。そこに東日本大震災が起こり、市民セクターは支援へと動き出した。多くの個人ボランティアが被災地に駆け付け様々な支援を展開したが、それ以上の影響力をもって支援を実施したのはアソシエーションであった。 本報告では複数のアソシエーションが共同で実施したアソシエーション向けのアンケート調査結果(2013年に実施、1420団体に配布、回収率35.4%)を用い、個別の被災地域においてアソシエーションがどのように支援を実施したのかを論じる。 アソシエーションが被災者支援に充当した収入の割合を収入全体に乗じた額である「被災者支援資金充当額」を市町村ごとに合計すると、大きな津波被害を受けた三陸沿岸市町村では大きいが、福島県は一般に小さく、原発への不安がアソシエーションの支援に影響を与えたと考えられる。また、被災3県内に主たる事務所をもつ「被災3県団体」の被災者支援資金充当額の使用割合を比べると、比較的額の大きい市町村の中では多数のアソシエーションが震災前から存在していた仙台市が群を抜いて使用割合が大きく、様々な資金を受け止め独自に支援を展開できたと考えられる。

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URL
http://jglobal.jst.go.jp/public/201502297952756798