DNA分子上の放射線損傷分布とDNA修復経路干渉
日本放射線影響学会第55回大会
- ,
- ,
- ,
- ,
- 開催年月日
- 2012年9月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 仙台
- 国・地域
- 日本
DNAの1$\sim$2ヘリカルターンに複数の損傷が局在化したクラスターDNA損傷は、突然変異などの生物影響を引き起こす主要な原因の一つであるとされている。クラスター損傷はさまざまな損傷から構成されているため、これらに対する細胞応答において異なる修復系が同時にあるいは逐次的に関与することが予測される。本研究では、クラスターDNA損傷に対する塩基除去修復酵素の作用機序の違いがクラスターDNA損傷の難修復特性にどのようにかかわるかを明らかにすることを目的とした。イオンビームを照射したプラスミドDNAで、2種類のグリコシレースの処理の順番をさまざまに変えインキュベートし、酵素活性で生じたニック(SSB)量を立体構造変化としてゲル電気泳動法により定量した。C$^{6+}$イオンビームを照射した場合はFpgを先に処理したものの方が、同時処理やNthを先に処理したものより損傷を持たないDNAの残存量が小さい傾向にあった。さらに、DNAの熱変性を利用する新しい分析法を用いることで、従来検出できなかったプラスミド上の複数の損傷を検出することができると期待される。講演では、上述した逐次処理にみられた収率の差をもたらす原因としてのクラスター損傷の構造について発表する。