講演・口頭発表等

2019年10月12日

経済的利益と主観のれんの関係 ―Lee[1974]を手掛かりとして―

財務会計研究学会 第13回研究大会
  • 島崎杉雄

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
主催者
財務会計研究学会
開催地
熊本学園大学

本稿の目的は,Lee[1974]を手掛かりとして,経済的利益と主観のれんの関係を,入口価値および出口価値の観点から明らかにすることを目的とする。Lee[1974]は,会計的利益と経済的利益を対比していくなかで,アカウンタントの視点と経済学者の視点から,意思決定モデルに基づきながらも,現実的に会計測定および開示(伝達)を行うために,複合的な評価基準の選択を提唱する。
そこで,提唱された評価基準は,歴史的原価,入口価値(再調達原価),出口価格(実現可能価値)および現在価値である。これら4つの評価基準から,4つの利益モデルとその利益概念を提示し,これらは代替的・補完的であるものと主張する。とくに,会計的利益モデルのなかに,市場価値モデルを組み込み,再調達原価と実現可能価値の説明を行っている。
そして,Lee[1974]は,経済的利益と市場価値利益(再調達原価と実現可能価値)の関係から,主観のれんの説明を行った。それは,Edwards and Bell[1961]の理論に基づいているが,具体的に数値例をもって説明している点に,Lee[1974]の特徴がある。本稿は,これらのLee[1974]の内容を検討することに意義がある。