2019年4月 - 2022年3月
特定のT細胞サブセットによる中枢神経障害の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
- 課題番号
- 19K06918
- 体系的課題番号
- JP19K06918
- 担当区分
- 研究分担者
- 配分額
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- (総額)
- 4,420,000円
- (直接経費)
- 3,400,000円
- (間接経費)
- 1,020,000円
- 資金種別
- 競争的資金
ヘルパーT細胞サブセットであるTh17細胞による免疫反応は、統合失調症・自閉症スペクトラム障害など様々な精神神経疾患の病態への関与が示唆されている。Th17細胞による免疫反応が脳にどのような分子機構でいかなる変化を及ぼすのか明らかにする目的で、令和元年度(平成31年度)はT細胞特異的にRORγt(Th17細胞分化のマスターレギュレーター)を過剰発現しTh17細胞の過剰状態にあるトランスジェニックマウスの解析を行った。このマウスにおいて、Th17細胞の分化の場である小腸でRORγtメッセンジャーRNAの量をRT-PCRで測定したところ、予想通り上昇していた。また、マウス血清中のIL-17A(Th17細胞が放出するインターロイキン)のレベルをELISAで測定したところ、同様に上昇していたことから、RORγtTGマウスはTh17細胞過剰状態であると結論した。更に、組織学的解析の結果IL-17Aの高値によって持続的炎症が発生し、胎盤組織の細胞接着を脆弱化させていることが明らかになった。このマウスを妊娠させ二本鎖RNAアナログであるPoly(I:C)インジェクションにより母体免疫活性化を誘導すると流産が発生することから、胎児の脳発達を阻害する要因としてIL-17A由来の炎症反応による胎盤組織の脆弱化を基盤とした子宮内環境の悪化が存在することを示した。これらの結果を国際誌に原著論文として発表し(Tome S, Sasaki T, Takahashi S, Takei Y. Experimental Animals 68:491-497,2019)、国内及び国際学会で発表を行った(日本解剖学会2019、2020、日本神経科学大会 2019、International Symposium of Brain/MINDS 2019、Tsukuba Conference 2019)。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K06918
- 体系的課題番号 : JP19K06918