2019年4月 - 2025年3月
属性叙述を含めた包括的なテンス・アスペクト体系の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
本研究は、これまで事象叙述文を中心に考えられてきたテンス・アスペクト体系の中に、属性叙述文におけるアスペクト形式の対立を位置づけることを目的としている。
本年度は、当初予定していた通り、[習慣]を表すテイル形の意味の記述的解明を含め、ル形とテイル形の対立が叙述の型の対立(属性叙述/事象叙述)にどのような影響を与えるのかを体系的にまとめた。それに加えて、当初予定していなかった現象も扱い、属性叙述文におけるアスペクト対立だけでなく、事象叙述文におけるアスペクトの対立についても分析した。具体的には、以下の2点の成果を挙げた。
①2022年2月に出版した単著『属性叙述と総称性』の中で、[経験]、[習慣]、状態性を表すル形とテイル形の対立を、テンスの総称性という観点から体系的にまとめ、それぞれのテイル形がどのようにして属性叙述文を形成しているかを明らかにした。結論として、個体レベル述語としての性質を持ち、総称テンスと結びついて意味論レベルで属性叙述文を形成するテイル形と、場面レベル述語としての性質を持ち、存在テンスと結びつきながらも語用論レベルの条件を満たすことで属性叙述文を形成するテイル形を区別すべきことが明らかになった。②前年度に学会発表を行った事象叙述におけるル形とテイル形の意味記述を精緻化し、2021年9月に査読付きの全国誌『日本語文法』において「同時性に基づくトキ節の構成的意味分析」として発表した。具体的には、非文となるトキ節がなぜ成立不可能となるのかを論じることを通して、事象叙述におけるアスペクト・テンス・複文の接続形態素の意味がどのように相関するかを明らかにした。
本年度は、当初予定していた通り、[習慣]を表すテイル形の意味の記述的解明を含め、ル形とテイル形の対立が叙述の型の対立(属性叙述/事象叙述)にどのような影響を与えるのかを体系的にまとめた。それに加えて、当初予定していなかった現象も扱い、属性叙述文におけるアスペクト対立だけでなく、事象叙述文におけるアスペクトの対立についても分析した。具体的には、以下の2点の成果を挙げた。
①2022年2月に出版した単著『属性叙述と総称性』の中で、[経験]、[習慣]、状態性を表すル形とテイル形の対立を、テンスの総称性という観点から体系的にまとめ、それぞれのテイル形がどのようにして属性叙述文を形成しているかを明らかにした。結論として、個体レベル述語としての性質を持ち、総称テンスと結びついて意味論レベルで属性叙述文を形成するテイル形と、場面レベル述語としての性質を持ち、存在テンスと結びつきながらも語用論レベルの条件を満たすことで属性叙述文を形成するテイル形を区別すべきことが明らかになった。②前年度に学会発表を行った事象叙述におけるル形とテイル形の意味記述を精緻化し、2021年9月に査読付きの全国誌『日本語文法』において「同時性に基づくトキ節の構成的意味分析」として発表した。具体的には、非文となるトキ節がなぜ成立不可能となるのかを論じることを通して、事象叙述におけるアスペクト・テンス・複文の接続形態素の意味がどのように相関するかを明らかにした。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K13172
- 体系的課題番号 : JP19K13172
この研究課題の成果一覧
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論文
1-
TAMEに関する多言語研究と認知モード 85-98 2020年12月 査読有り筆頭著者
書籍等出版物
2-
開拓社 2020年10月 (ISBN: 9784758922906)
-
くろしお出版 2019年11月 (ISBN: 9784874248119)
講演・口頭発表等
1-
日本語文法学会第21回大会 2020年12月12日