共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

ネオニコチノイド系農薬により引き起こされる生態系影響および毒性の実態に迫る

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
18H04137
体系的課題番号
JP18H04137
配分額
(総額)
44,070,000円
(直接経費)
33,900,000円
(間接経費)
10,170,000円
資金種別
競争的資金

水田生態系に対する水稲用殺虫剤の影響を明らかにするために、水田を模した水田メソコスムを用いて殺虫剤曝露実験を行った。クロチアニジン処理区では底生ベントス群集に対し、クロラントラニリプロール処理区では動物プランクトン群集に対し負の影響が認められた。水田内の生物および水・土に対して殺虫剤の濃度測定を行ったところ、クロチアニジンは動物に蓄積しやすく、クロラントラニリプロールは植物および水・土に対して蓄積しやすいことが判明した。
田植え期間の13日間と空中散布期間の6日間における対象流域でのクロチアニジン積算物質量の排出率は、田植え後に0.4%、空中散布後に1.3%であった。ライシメータに施用されたクロチアニジンは、田面水中に約12%、土壌中に約21%、植物体中に約1%存在し、浸透はほぼ0%であった。現地の対象水田およびライシメータ実験により、田面水中の濃度変化は光分解によることが示唆された。
水田内での定期試料採取から、クロチアニジンおよびジノテフランはイネ体内に移行後急速に分解されており、各剤の殺虫活性の持続には吸収後の代謝産物の作用が考えられる。小ポットでの長期培養試験から、各剤の微生物分解が確認されたが、細菌群集組成への影響は認められなかった。一方、原生生物数は培養49日目以降に減少傾向にあった。
胎仔期に農薬暴露を受けたマウスについて、個体成熟後に行動テストバッテリーを行ったところ、聴覚驚愕反射、記憶形成、社会行動などで異常な行動応答が認められ、胎仔期の農薬暴露が成熟後の脳機能に影響する可能性が示された。現在、行動解析後のマウスから遺伝子発現解析や組織化学解析用の脳サンプルの調製を進めている。
極力化学物質を含まない乳児の尿の収集を試行し、収集方法を決定した。複数の医療機関および助産師からの研究協力を得て、乳児尿および母乳サンプルおよびアンケートデータの収集を開始した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H04137
ID情報
  • 課題番号 : 18H04137
  • 体系的課題番号 : JP18H04137