講演・口頭発表等

2016年7月17日

「伝統」はいかに評価されるか――時間的、空間的尺度からの考察

日本国際文化学会第15回全国大会
  • 鈴村裕輔

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
主催者
日本国際文化学会
開催地
早稲田大学

「伝統」の概念は多義的であり、評価の尺度により同一の事象が伝統的であると見なされることもあれば、伝統の枠組みの外に置かれる場合もある。そこで、今回は時間と空間の隔たりが人々の「伝統」への接し方にいかなる影響を与えるかを、伊豆諸島の八丈島と青ヶ島における神事の扱いに焦点を当てて検討する。八丈島と青ヶ島は近接する島でありながら「中央」との交流の頻度の相違により、「中央」との分化の統合度に変化がある。すなわち、八丈島は1950年代以降の観光化の進展もあり、古来の儀式が観光用の「出し物」として見なされるようになってきた。一方、長らく本土から本格的な文物の流入の程度が低かった青ヶ島については、神事が島の外で初めて行われたのは2007年であり、それまでは島に行かなければ神事は見られず、観光客向けに神事を行うこともなかったため、従来の神事の様式が祖型に近い形で保持されることになったのである。

リンク情報
URL
http://www.jsics.org/pdf/conference/2016-15-conference/15-conference-common-subject.pdf