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2018年12月1日

米大リーグにおける判定へのIT技術の導入状況

野球文化學會第2回研究大会
  • 鈴村裕輔

記述言語
日本語
会議種別
シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
主催者
野球文化學會
開催地
法政大学

米大リーグでは2014年からはビデオを利用し、監督及び審判に判定の内容の審議を要求する「チャレンジ」の権利を与えている。2014年から2018年までの5シーズンの間、「チャレンジ」が行使されたのは7031回であり、判定が変更されたのは3463回、判定が変更されなかったのは3568回、「チャレンジ」の成功率は通算で約49.3%であった。このような結果から、現在の大リーグではビデオ判定が定着していることが推察される。また、野球の投手の投球速度や投球軌道を追跡するスピード測定器システムPITCHf/x、軍事技術の追尾レーダーの技術を利用し、ステレオカメラやレーダーを使用して選手やボールの動きを高速、高精度に分析するスタットキャストなどのIT技術が日常的に活用されている。しかし、大リーグにおいて球審の技術力を向上させるための監視・評価システムであるUmpire Information System(審判情報システム)、通称クエステックが導入されたのは2001年であったものの、公式戦での判定にIT技術が本格的に導入されたのは米四大スポーツの中で最も遅く、2008年8月からであった。ビデオ判定が導入された当初は審判の権威の低下や試合の遅延などが懸念されたものの、現在に至るまで深刻な問題は生じていない。その一方で、カウントの状況、選手の人気の度合い、人種などにより、審判の判定に不作為バイアスが生じる可能性も指摘されており、ビデオ判定やクエステックのようなIT技術に基づく監視・評価システムなどが不作為バイアスを回避するために一定の効果を有する可能性も指摘されている。今回の報告では、このような状況を踏まえ、米大リーグにおける判定へのIT技術の導入のあり方を検討する。